ダブルスファンの雑記

プロテニスの主にダブルスについて書くブログです

2022年ウインブルドンを終えて

2022年ウインブルドンエブデン / パーセルメクティッチ / パビッチを下して優勝しました。

tennismagazine.jp


www.youtube.com

 

エブデン / パーセルは今年の全豪で悔しい思いをしたはずですから、タイトルを獲ることが出来て良かったと思います。それにしてもこのペアは今大会壮絶な勝ち上がりでした。上の記事に詳しく載っていますが、今大会で戦った6試合のうち5試合がフルセット、しかもそのうち3試合が2セットダウンからの逆転勝ちという勝負強さでした。倒してきたペアも強豪ばかりです。上位3シードクールホフ / スクプスキ、ラム / ソールズベリー、メクティッチ / パビッチを全て下しての優勝というのは大変評価が高いです。

 

個人的には慶応チャレンジャーでプレーしていたころから知っているパーセルグランドスラム優勝が感慨深いですね。これまで全豪で2度の決勝進出があって、2度とも逃していますから、今回はチャンスをものに出来て本当に良かったと思います。(以下はこれまで私がパーセルに言及した記事です。)

doublesgeek.hatenablog.com

doublesgeek.hatenablog.com

doublesgeek.hatenablog.com

doublesgeek.hatenablog.com

doublesgeek.hatenablog.com

doublesgeek.hatenablog.com

 

敗れたメクティッチ / パビッチは惜しくも2連覇を逃しましたが、きっちり決勝まで上がってくるのは流石です。上のテニスマガジンの記事によるとパビッチは右手首を骨折していたらしいですね。パビッチはバックハンド両手打ちなのでこれは大きなハンデだったと思います。また、上のハイライトの動画をよく見るとパビッチはネットにいるときに右手でラケットのスロートを持たないようにしているのがわかります。この構えは利き手の左手の力みを生む可能性があるので、ここにも骨折の影響が出ていたかもしれません。

 

決勝進出ペア以外ではグラスプール / ヘリオバーラ組の活躍が嬉しかったですね。事前の予想通りメクティッチ / パビッチを苦しめる活躍をしてくれました。

doublesgeek.hatenablog.com

2022年ウインブルドン 1週目を終えて

ウインブルドンは1週目を終えて、男子ダブルスはMajchrzak / Zielinski  vs  クドラ / ソックのカード以外は全て2回戦まで終了し、16強がほぼ出揃いました。

 

今大会は非常にシード勢が順当に勝ち上がっています。トップハーフは1ペアもシードダウンせず全てのシードペアが16強入りしました。ボトムハーフは5ペアが16強入りしています。シードダウンしてしまったのは第4シードのアレバロ / ロジェ、第5シードのプッツ / ビーナスで共に初戦で敗れています。また、私が上位進出を予想していた第10シードのコキナキス / キリオスは出場を取り止めています。

tennismagazine.jp

 

ボトムハーフの強豪が減ったことは、連覇を狙うメクティッチ / パビッチにとっては間違いなく大きな追い風になったと思います。次のグラスプール / ヘリオバーラが一つのヤマになると思われますが、ここを超えてくれば決勝進出の可能性がかなりあるのではないでしょうか。

 

トップハーフはやはり第1シードのラム / ソールズベリー、第3シードのクールホフ / スクプスキが上がってくると思います。

さようなら、コールシュライバー

news.tennis365.net

ドイツの大ベテランコールシュライバーが引退を表明しました。最後の試合はウインブルドン予選2回戦。カザフスタンのククシュキンに6-7(4) 6-3 6-4のフルセットで敗れています。

 

以前、彼が自身の引退についての見解を述べた記事を出しましたが、その時の宣言通り突然の引退表明でした。もっともランキングが落ちてきてしまっていたので、そろそろかな、という気配はありましたが…。

doublesgeek.hatenablog.com

 

コールシュライバーh2006年から2021年までずっとトップ100を維持し続けてきた選手です。気が付くといつも名前がある選手の一人でした。このブログでも一度だけテレビ観戦でしたが、試合のレポートを書いた選手です。

doublesgeek.hatenablog.com

doublesgeek.hatenablog.com

 

私の個人的な印象としてコールシュライバーはボールの回転量の調整が巧い選手だったと思います。高いループ系のボールから、弾道の低いスライス、フラットと様々な球種の使い分けが絶妙だした。175cmと小柄で決してパワーのある選手ではありませんでしたが、技術的に大きな穴がなくどんなショットも打てるオールラウンダーだったのも彼の強みだったと思います。

 

もうテクニカルなプレーとあの独特なサーブのモーションが観られないと思うと寂しい限りです。本当に長い間お疲れ様でした。

 

*追記

WOWOW TENNIS WORLDにコールシュライバーの記事が載っていたので追加でリンクを貼っておきます。

wowowtennisworld.jp

 

 

2022年 ウインブルドン 展望

www.atptour.com

今年の注目はやはりメクティッチ / パビッチではないかと思います。シード順こそラム / ソールズベリーに抜かれて第2シードですが、前哨戦2大会連続優勝マッチ8連勝という勢いで今大会に乗り込んできます。去年優勝したときも前哨戦のイーストボーンから勝ち続ける流れでした。今年もそのルートに乗っているような気がします。

 

メクティッチ / パビッチが順当に勝ち上がった場合、3回戦で15シードのグラスプール/ヘリオバーラのペアと対戦します。実はこのペアにも結構注目しています。二人とも去年まではチャレンジャーをメインに戦っていた選手ですが、先の全仏では初出場でベスト8に進出。前哨戦のクイーンズでも準優勝(決勝でメクティッチ / パビッチにマッチタイブレークの末敗退)と勢いに乗っています。グラスプールは地元勢ですからその意味でも勝たせてあげたい気がします。

 

他にボトムハーフで有力なのは全豪オープン優勝のコキナキス / キリオスでしょう。このチームに関しては完全に二人のやる気次第な気がします。この二人のサーブがまともに入れば太刀打ちできるチームはそうはいないので、本気を出して来たら間違いなく優勝候補です。全豪のようなホームアドバンテージがないので、全豪ほどのモチベーションが無い気もしますが…。

doublesgeek.hatenablog.com

 

 

トップハーフはボトムハーフより混戦な気がします。第1シードのラム / ソールズベリーが頭半分抜けてる気がしますが、なかなかタフなドローです。3回戦では前哨戦優勝のマトス / ヴェガ=ヘルナンデス 、準々決勝では全仏準優勝のドディグ / クライチェクとこのところ勢いのあるチームと対戦になります。

 

私が個人的に応援しているマレー / ソアレスは少しずつ一時の不調を抜け出しつつあります。前哨戦でも強豪相手に競った試合を出来ています。上位進出に期待したいのですが、順当に行けば準々決勝で当たる第3シードのクールホフ/スクプスキの牙城は崩せないと思います。このペアは今年は非常に安定しているので、今年はかなりチャンスがあるように思います。

 

総じて以下が私の予想です。

・ベスト4:クールホフ / スクプスキ キリオス / コキナキス

・準優勝:ラム / ソールズベリー

・優勝:メクティッチ / パビッチ

2022年 全仏オープン 総括

2022年の全仏オープン男子ダブルスはアレバロ / ロジェ組が制しました。

tennismagazine.jp

 
 
 
 
 
View this post on Instagram
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

A post shared by Marcelo Arévalo González (@marceloarevaloatp)

www.instagram.com

 

アレバロはとっては自身初のグランドスラムタイトルであり、中米出身の選手としても初のグランドスラムタイトルとのことです。今回の優勝で世界ランキングは14位となり、これは自身のキャリアハイのランキングでもあります。何度かプレーを観てきた選手ですが、正直そこまで強い選手と思ったことがなく、ここまで活躍したのは嬉しい驚きでした。

doublesgeek.hatenablog.com

doublesgeek.hatenablog.com

 

一方でロジェは2015年USオープン、2017年ウインブルドンに次ぐ3つ目のグランドスラムタイトル獲得です。気付けばキャリアグランドスラムに王手がかかる状態になりました。2020年シーズンで長年のパートナーだったテカウと解散して以降、いまひとつパッとしなかったので、もうかつてのような活躍は出来ないのではないかと思っていました。アレバロとは違う意味でロジェの活躍も嬉しい驚きでした。

doublesgeek.hatenablog.com

 

アレバロとロジェは今大会の12シードでしたが、実は優勝するまでに当たった相手で彼らより格上だったのは3回戦で当たった第6シードのプッツ / ビーナスのみでした。同じ山にいた第3シードのエルベール / マウ、第2シードのメクティッチ / パビッチが早々に敗れてくれた運も彼らに味方した気がします。

 

一方でノーシードから決勝に勝ち上がたったドディグ / クライチェクのペアは、ピアース / ポラセク、ラム / ソールズベリー、グラノイェルス / セバリョスといった名だたる強豪達を下して決勝に進みましたが、最後の最後で力尽きてしましました。クライチェクは東京五輪でも3位決定戦に敗れてメダルを逃していますし、どうもあと一歩のところで結果を残しきれないですね。ただ、グランドスラムでの結果については言えばこれまではベスト8が最高成績なので、今回の優勝は大躍進であることは間違いありません。ランキングも自己ベストの22位になりましたし、これから経験豊富なドディグの元で実力をつけていって欲しいと思います。

doublesgeek.hatenablog.com

 

決勝に勝ち上がったペア以外でおもしろい存在だったのは一つ前の記事でも取り上げたグラスプール / ヘリオバーラ組。残念ながら準々決勝で敗退し、クラウィーツ / ミース以来の初出場初優勝とはならなかったものの、存在感を示したと思います。次のウインブルドンは去年もこのペアで出ていてベスト16まで勝ち上がっています。既に報道されている通り、今年のウインブルドンではポイントが付かないのでこのペアにとっては痛いポイントドロップになりますが、グラスプールにとって地元の大会なのでポイントが付かなくても出場はすると思われます。このペアの今後の活躍にも注目です。

doublesgeek.hatenablog.com

2022年 全仏オープン 前半戦を終えて

この記事を書いている時点ではベスト16とベスト8の一部が出揃いました。私が事前に予想したベスト4のペアのうち既に3ペアが敗退(ボレッリ / フォニーニ関しては欠場)しています(笑)。例によって全く予想があたりません。

doublesgeek.hatenablog.com

 

トップハーフではラム/ソールズベリーがベスト8入りしています。ペアとしては3回目の全仏ベスト8ですが、この二人はペアとしても個人としても全仏でそれ以上は勝ち上がったことがありません。初のベスト4入りをかけてドディグ / クライチェクのペアと対戦になります。

 

トップハーフでおもしろい存在なのがオマラ / ウィスローのペア。この二人はツォンガ / ガスケのペアの棄権による繰り上がり出場の急造ペアです。まさかの16強入りとなりました。オマラにとってもウィスローにとってもこれは全仏のベストリザルトになります。準々決勝では第4シードグラノイェルス / セバリョスと対戦になります。

news.tennis365.net

 

一方、ボトムハーフは激戦を予想していたのですが、連覇を狙うエルベール / マウ、連勝記録更新を狙うクラウィーツ / ミースは1回戦敗退。ゴールデンスラムのかかっていたメクティッチも2回戦で敗退と大物ペアがあっけなく敗退してしまいました。

 

そんな混戦のなかで私が注目するのはグラスプール / ヘリオバーラ組。実はこのペアは去年まではチャレンジャーが主戦場だったペアでチームとしても個人としても全仏出場はこれが初めてになります。それでいきなりのベスト8というのは、このペアが1回戦で下してきたクラウィーツ / ミースと同じ境遇ということになります。これでクラウィーツ / ミース同様初出場で初優勝となったら大変面白い存在です。形の上では1回戦での対戦に勝利し″初出場初優勝バトン”を引き継ぐ形になったので(?)是非活躍して欲しいと思います。初の4強入りをかけて第16シードのボパンナ / ミドルコープと対戦になります。

2022年 全仏オープン 男子ダブルス展望

全仏オープンのドローが発表されました。

 

まずはトップハーフから見ていきたいと思います。第1シードはラム / ソールズベリーです。既に全豪、全米とタイトルを獲得しているこのペアはここを獲ればペアとしてのキャリアグランドスラムが見えてくることになります。前哨戦ではモンテカルロでの優勝が光りますが、それ以降の3大会、バルセロナマドリード、ローマと3大会1コケなのがどうもいただけません。やっぱりハードコートに比べると戦績に安定感の無い印象です(参考までにこのペアのハードコートでの勝率は70%、クレーでは54%です)。

 

順当に勝ち進めばこのペアは準々決勝で第11シードのボレッリ / フォニーニと当たります。正直このペアの方がクレーにも合っているし安定感もあるので、フォニーニのダブルスに対する集中とモチベーションが持てば、という()付きにはなりますが、有望な気がします。

 

トップハーフの下半分には例年私が全仏の優勝候補として挙げているグラノイェルス / セバリョスのペアがいます。しかし、今年の前哨戦では例年ほどの戦績は残せていません。もっともこれまでは前哨戦強かったのに全仏本番でコケるというパターンのペアだったので、今年は逆に…ということもあるかもしれませんが(笑)。

 

ラム / ソールズベリーと同じく全豪、全米のタイトルを有し、ここを獲ればキャリアグランドスラムにリーチがかかるマレー / ソアレスのペアもトップハーフです。個人的には凄く応援しているペアなのですが、ソアレスが先週のジュネーブまで戦線離脱していたので準備不足感は否めません。その復帰戦だったジュネーブも1コケとイマイチなので今大会での活躍もあまり期待出来ないと思います。

 

総じてトップハーフ下半分で一番上がってきそうなのは、前哨戦のバルセロナで準優勝、マドリードで優勝と好調なクールホフ / スクプスキのペアではないかと思います。

 

活躍するかはさておいて、気になる存在なのがガスケ / ツォンガのフランスペア。御存知の通りツォンガがこの全仏で現役引退を表明しているため、彼のダブルスを観られるのもこれが最後になります。共にオリンピックのダブルスのメダリストであり、デビスカップでペアを組んでいたこともある二人です。上位進出は難しいかと思いますが、1試合でも多く勝ち進んで欲しいと思います。

 

続いてボトムハーフです。今大会は正直このボトムハーフの方が見どころが多いように思います。2連覇&3回目の優勝がかかるエルベール / マウ、チームとしての全仏無敗記録がかかるクラウィーツ / ミース、そしてパビッチ個人のゴールデンスラムがかかるメクティッチ/パビッチが揃っています。この3ペアが順当に勝ち進めば準々決勝でクラウィーツ / ミース vs メクティッチ/パビッチが実現し、その勝者がエルベール / マウと対戦することになります。どのペアにも頑張って欲しいところなのですが、やっぱりゴールデンスラムの達成はなかなか観られないので、ここはメクティッチ / パビッチを応援したいと思います。このペアは直近のローマ、ジュネーブと2大会連続優勝している勢いもあるので、その点でも期待できると思います。

 

ということで私の予想(期待)は以下の通りです。

・優勝:メクティッチ / パビッチ

・準優勝:クールホフ / スクプスキ

・ベスト4:ボレッリ / フォニーニ、エルベール / マウ