ダブルスファンの雑記

プロテニスの主にダブルスについて書くブログです

2022年 東レ パン パシフィックオープン 観戦記⑨

2022年9月21日 ダブルス1回戦

S.ケニン / L.サムスノバ 6-2 6-4 土居美咲 / 奈良くるみ

西日が射す中で土居(左)と奈良が練習をしています。

奈良と原田コーチ。原田コーチはサーブとリターンで奈良にアドバイスをしていました。

かなり真剣な雰囲気での練習でしたが、休憩中には笑顔のある場面も。

練習の途中でトレーナーが奈良の腰を診ています。もしかしたら少し違和感があったのかもしれません。

終盤はダブルスに特化した練習をしていました。これはSave the Pointというダブルス選手がよくやる練習で、原田コーチの突き玉を土居がボレーし、奈良は土居のボレーが自分のところに来たら反応してそのボールに触るというものです。

こちらは原田コーチの頭上を抜くトップスピンロブの練習

この日のショーコート第3試合は日本の土居 / 奈良ペアの試合でした。ファンとしてはショーコートならば近くで観られるので嬉しいと思いつつ、奈良の引退試合となる可能性も高いのだがらセンターコートで組んで欲しかったとも思いました。試合開始の約2時間前、二人はショーコートで練習をしていました。事前記者会見で土居は“勝ちに行く”と発言していましたが、その言葉通り真剣な雰囲気の練習でした。

news.tennis365.net

 

夕方6時半から試合が始まります。土居はかなり気合が入っている様子で試合前のウォームアップから声を出してボールを打っていました。その土居のサーブをまずキープし快調なスタートを切った日本ペアでしたが、第3ゲームの奈良のサーブをブレークされてしまいます。このあとさらに第7ゲームの奈良のサーブもブレークされてしまい、第1セットは2-6で日本ペアが落とします。奈良はシングルスの予選決勝の試合から通算して6ゲーム続けて自分のサーブを落とす形になってしまいました。

午後6時半頃試合開始。こちらは試合前のフォトセッション。左からケニン、サムスノバ、奈良、土居。

ケニンのウェアは独特のデザインでまるでカーディガンを着ているみたいでした。

トスに勝った日本ペアがサーブを選択。たくさんの観客が見守る中、土居のサーブで試合が始まります。

第2ゲームはロシアのサムスノバのサーブ。180cmの長身から放たれるサーブは強烈です。

実は土居のサーブだった第5ゲームもディサイディングポイントまでもつれました。ケニン / サムスノバはレフティーの土居のサーブに対してアドサイドのケニンがリターンをするという強気な姿勢でディサイディングポイントに臨みますが、ここは日本ペアがキープします。

第6ゲームのサムスノバのサーブもディサイディングポイントとなりましたが、残念ながらブレークバックは出来ず。日本ペアは奈良が前で土居が後ろという形の方がプレーがしやすいらしく一貫してディサイディングポイントは土居がリターンでした。

第1セットのスタッツ。セカンドサーブになるとかなり苦しい日本ペア。

第2セットも土居のサーブからスタート。土居、サムスノバとサーブをキープし、また第3ゲームで奈良のサーブが回ってきます。奈良はようやくここでサービスキープに成功。これを機に日本ペアは少し硬さがほぐれたのか、次のケニンサービスゲームでは土居のトップスピンロブが2本決まりチャンスを作ると、最後は奈良の伝家の宝刀、バックのストレートがさく裂し、この試合初のブレークに成功します。

しかし、日本ペアが優勢だったのはここまで。直後の第5ゲームでそれまで好調だった土居のサーブでブレークバックを許してしまいます。さらに第9ゲームの土居のサーブもディサイディングポイントの末に落としてしまい、4人の中で唯一ブレークされていないサムスノバのサービング・フォー・ザ・マッチとなってしまいます。日本ペアはこのゲームをキープされ試合終了となりました。

第3ゲームでようやく奈良のサーブをキープした日本ペア

2-1のコートチェンジの際の二人。何を話していたのかは分かりませんが、奈良の笑った声がベンチの反対側の観客席まで聞こえてきました。

実は第9ゲームでもケニンのサーブをブレークするチャンスがあったのですが、日本ペアはそれをものに出来ず。

敗れた直後の土居と奈良

試合終了

タオルに顔をうずめる二人

奈良の現役最後の試合が終わりました。この後続けて奈良の引退セレモニーがあったのですが、その模様まで書くと写真が(ここまででも多すぎるぐらいですが)さらに多くなってページが重くなるので、また別に書きたいと思います。

2022年 東レ パン パシフィックオープン 観戦記⑧

2022年9月21日

F.コントレラス=ゴメス / D.パパミハイル 6-1 6-3 本玉真唯 / 内藤祐希

 

コントラレス=ゴメスとパパミハイルはいずれもシングルスの予選に出場していた選手。二人とも予選を勝ち抜き、本戦1回戦でも勝利しています。特に予選でのコントラレス=ゴメスのプレーにはすっかり魅せられてファンになってしまいました。

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本来であればコントレラス=ゴメス / パパミハイルの相手はハダット=マイア / ジャンのペアだったはずなのですが、直前になってこのペアが棄権しました。ジャンはこの日の午前中にガルシアとシングルスの試合をしており、この試合が2時間半に及ぶ死闘ととなってしまったためその疲労回復を優先したものと思われます。

 

そのペアに代わって繰り上がりで出場権を得たのが本玉真唯 / 内藤祐希のペア。これは後で調べて分かったのですが、コントレラス=ゴメスと内藤祐希は今年に入ってシングルスで1回、ダブルスで2回対戦があります。シングルスでは内藤が勝利しており、ダブルスでは1勝1敗という結果でした。また、パパミハイルと本玉は今年のUSオープンの予選で当たっており、そのときには本玉が勝利しています。こうしてみると過去の戦績では日本ペアの方が優位だった試合と言っていいと思います。

16時40分頃にコントレラス=ゴメスとパパミハイルがショーコートに練習にやってきます。この時点では奈良と土居が練習をしており、写真のコントレラス=ゴメスは奈良にコートをシェアさせてくれないかと頼んでいます。奈良は私の聞き間違えでなければ”We'll finish in minutes(私たちはあと数分で終わります)."と答えていました。

ベンチに戻った土居、奈良と入れ替わりに、コントレラス=ゴメスとパパミハイルがショートラリーを始めます。

その10分後ぐらいに今度は本玉、内藤ペアが登場。ごく短時間ですが4選手がコートをシェアして練習。

コントレラス=ゴメスとパパミハイルは先に練習を終えベンチで待機。日本ペアが一面使ってポーチの練習をしています。この時点で試合開始5分前。この流れのまま試合が始まったのでこの試合にはいわゆるウォークオンがありませんでした。

コイントス。コントレラス=ゴメスはチャレンジシステムが使えるかどうか確認していました。ちなみにショーコートではチャレンジは使えません。

急な出場選手の変更に修正の間に合わなかった電光掲示板。ウォームアップが終わるころには修正されていたと思います。

すっかりコントレラス=ゴメスファンになっていた私の贔屓目もあるのかもしれませんが、この4人の中では頭一つ抜けてコントレラス=ゴメスは良いプレーをしていたと思います。ミスが最も少なくかつショットのクオリティは一番高かったのではないでしょうか。

試合はトスに勝った日本ペアがサーブを選択し本玉のサーブで開始しますが、コントラレス=ゴメス / パパミハイルがいきなりここをブレークします。さらに第3ゲームの内藤のサーブもコントラレス=ゴメス組がブレークしてさらに2ブレークアップのリードとなります。結局コントラレス=ゴメス組は第6ゲームの内藤のサーブもさらにブレークして、3ブレーク差をつけ6-1でこのセットを取ります。

本玉のサーブで試合開始
ロブリターンを放ち2人でネットに詰めるコントラレス=ゴメスとパパミハイル

第2ゲームはコントラレス=ゴメスのサーブ。ファーストサーブが入ったときはサーブ&ボレーをすることが多かったです。

第3ゲームの内藤のサーブではこの試合で最初のディサイディングポイントが訪れました。リターンはパパミハイルです。

第3ゲームをブレークしたコントラレス=ゴメスとパパミハイル

わずか24分で終わった第1セット。日本ペアはファーストサーブが入っても31%しかポイントが取れませんでした。

セット間でバスルームブレークを取った日本ペア。気持ちを切り替えて第2セットに臨みます。

第2セットはコントラレス=ゴメスのリターンから突き玉が日本ペアを苦しめました。途中から日本ペアはコントラレス=ゴメスにセカンドサーブを打つときは前衛を下げるという作戦を取ります。これには一定の効果があったらしく、4-3までは両ペアともサービスキープが続きます。しかし、第8ゲームの内藤のサーブを落としてしまい、4人の中で最もサーブの良いコントレラス=ゴメスのサービング・フォー・ザ・マッチを迎えてしまいます。コントレラス=ゴメスはここをキープして試合終了となりました。

コントラレス=ゴメスのフォアに甘いセカンドサーブが入ると強烈な突き玉が返ってきます。彼女は片手打ちバックハンドなのでバック側に高く弾むキックサーブを打てると攻撃を防げたのかもしれませんが、日本ペアのサーブはスライス系なのでそれは難しかったのでしょう。

コントラレス=ゴメスの突き玉にのけぞる本玉

日本ペアは途中からコントラレス=ゴメスにセカンドサーブがいくときには前衛を下げる作戦に変更します。写真は内藤のサービスゲームですが、本玉のサービスゲームでも同じことをしていました。これによりコントラレス=ゴメスは突き玉を打つという選択肢が無くなったので確かに少しやりにくそうではありました。

第8ゲーム、内藤のサーブでディサイディングポイントを迎えます。ここではさすがにコントラレス=ゴメスがリターンを打ちました。このポイントを取ってコントラレス=ゴメス組がサービング・フォー・ザ・マッチへと向かいます。

勝利した瞬間のコントラレス=ゴメスとパパミハイル

握手

主審と握手をした後、通例勝ったペアはお客さんに手を振るものなのですが、この二人は忘れてたのか慣れてなかったのか一瞬そのままベンチに戻りそうになります。ベンチ側にいるお客さんが拍手をしてくれているのを見て思い出したらしく、会場に向かって手を振ってくれました。

退場するコントラレス=ゴメスとパパミハイル

試合時間は1時間2分。スコアも内容もコントラレス=ゴメス / パパミハイルの圧勝と言っていいと思います。急遽出場した日本ペアとしては、前述の通り今年の戦績的には勝てない相手では無かっただけにチャンスを活かせず残念でした。パパミハイルがあまりボレーが上手い選手ではなかったので、もっと前衛の彼女に強い突き玉を浴びせられると良かったのですが、コントラレス=ゴメスのサーブとストローク力がそれを許さなかったのでしょう。

 

勝ったコントラレス=ゴメス / パパミハイルのペアは準々決勝で第1シードのクデルメトバ / メルテンスのペアに挑みましたが0-6 3-6のスコアで完敗。ベスト4進出とはなりませんでした。それでも今大会の初戦を突破したことは普段WTAツアー500で戦う機会のない二人にとっては非常に大きく、9月26日付けのダブルスランキングでコントラレス=ゴメスは115位前後、パパミハイルは150位前後までランキングを上げる見込みです。いずれも二人にとってはキャリアハイとなるランキングとなるでしょう。

 

特にコントラレス=ゴメスはリストが強いのでボレーが上手いです。サービスダッシュもリターンダッシュも上手くダブルスプレーヤーとしてのセンスは非常に高いと思います。恐らく来季の序盤~中盤あたりにはトップ100に入ってくるのではないかと思います。楽しみな選手がまた一人増えました。

2022年 東レ パン パシフィックオープン 観戦記⑦

2022年9月21日 ダブルス1回戦

G.ダブロウスキ / G.オルモス 6-3  6-1  柴原瑛菜 / L.ステファニ

試合前のフォトセッション。左からオルモス、ダブロウスキ、ステファニ、柴原。

試合前のウォームアップ。柴原は両肩にテーピングをしています。

ショーコートで行われたダブルスの第1試合。日本の柴原の登場ということで結構お客さんも入っていました。しかし、残念ながらその柴原の調子があまり良くありません。柴原は第2ゲームの自分のサーブをダブルスフォルト2本が絡む形でいきなりブレークされてしまいます。続く第3ゲームでブレークバックしますが、2巡目のサービスゲームとなった第6ゲームも柴原はサーブを落としてしまいます。直後の第7ゲームで再びブレークバックして追いつくものの、第8ゲームで今度はステファニのサーブをディサイディングポイントの末に落としてしまい、スコアは3-5。そのまま第9ゲームをダブロウスキにキープされ第1セットを落とします。

トスに勝ったダブロウスキ / オルモスがサーブを選択。ダブロウスキのサーブから試合が始まります。

第3ゲームのオルモスのサーブをブレークし、ブレークバックに成功

第4ゲームはステファニのサービスゲーム。サーブ&ボレーをします。

第6ゲームでまた柴原のサーブを落としてしまいますが、明るい雰囲気を崩さないようにするのが流石です。直後のオルモスのサーブでまたブレークバックします。

第8ゲームのディサイディングポイント。レシーバーはデュースサイドのオルモスです。

第1セットのスタッツ。ブレークの差は1つなのですがサーブのスタッツにはかなり差が出ました。柴原/ステファニはファーストサーブが入っても33%しかポイントが取れていません。ダブルスの数字としてはかなり低い数字です。

第2セットは柴原 / ステファニのサーブから始まります。第1セットで柴原が2ブレークされているということもあり、このセットはステファニが先にサーブを打ちますが、このサービスゲームをいきなりブレークされてしまいます。さらに第3ゲームの柴原のサーブもブレークされ2ブレークダウンとなってしまった時点で勝負ありという感じでした。柴原はこのセット2巡目のサーブだった第7ゲームのサーブも落として試合終了となりました。

第2セット第1ゲーム。順番を変えてステファニのサーブからスタートしますが、ブレークされてしまいます。

スマッシュを打つ柴原ですがこのショットはアウトします。この日は柴原のスマッシュのミスが非常に多く、ダブロウスキとオルモスは困ったら柴原の頭上を狙っていた印象でした。

第3ゲーム、柴原のサーブでは第1セットでは全くやっていなかったサービス&ボレーを多用します。何かを変えなければということだったのだろうと思いますが、結果的には柴原はこの試合で一度も自分のサーブをキープ出来ませんでした。

柴原のサービスダッシュに対してダブロウスキもリターンダッシュし、ネット際4人の攻防となります。

ダブロウスキのロブをステファニがスマッシュ。このポイントは柴原/ステファニが取ります。

ステファニのロブリターン。調子の悪い柴原を頑張って引っ張ってくれていましたが、力及ばず。

ダブロウスキのリターン。ワイパースイングでねじ込むように打ってくるショットは強烈でした。

試合終了

ダブロウスキとステファニは先週組んでいただけでなく、昨シーズンステファニが怪我をするまで長期に組んでいたパートナーです。仲が良いのでしょう。この試合の後、ダブロウスキのインスタグラムにはステファニと一緒に原宿に遊びに行った様子がアップされていました。ちなみ来月の大会にもこの二人で組んでエントリーしています。
 
 
 
 
 
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お客さんの声援に応えるダブロウスキとオルモス

退場する柴原、ステファニ

残念ながら柴原の東レデビューは自分のサーブをオールブレークされるというほろ苦いデビューとなりました。試合後に出た記事をみるとやっぱり調子悪かったみたいですね。ステファニとのペアは負けはしましたが常にポジティブな雰囲気に溢れていて観ていて気持ち良いチームでした。また組んで欲しいと思います。

hochi.news

2022年 東レ パン パシフィックオープン 観戦記⑥

2022年9月21日 ショーコートでの練習風景

 

台風の影響による降雨で本戦初日、2日目とショーコートの試合は無観客&試合の配信の無いインドアコートでの試合になってしまいました。ちなみにこの2日間でのショーコートの試合は全てダブルスで加藤、日比野、穂積、二宮、青山と5人の選手が登場し全員誰にも観戦してもらえないまま敗退しています。正直、これは選手にとっても観客にとってもあんまりではないかと思います。台風が来やすい時期の大会なんだから、せめて配信ぐらいは出来る用意をしておいて欲しかったのですが…。

 

さて、そんなわけで本戦3日目(大会全体としては予選を含めて5日目)にして初めて天気が回復し、有観客で試合が行われるダブルスの初戦が行われました。その初戦に登場するのが日本の柴原とブラジルのステファニのペア。私が会場入りしたのは試合開始から約2時間前でしたが、すでにこの二人がショーコートで練習をしていました。

フォアを打つ柴原。間近で見ると本当に顔小さいし、手足長いしでスタイル抜群です

笑顔のステファニ

柴原のナイストップスピンロブにサムアップするステファニ

休憩中。この日は日差しが強かったのでベンチではなくコート隅の日陰で休んでいます

ステファニは女子では珍しいサービス&ボレーをする選手。サーブ練習でも必ずサービスダッシュまでをセットにして練習していました。

サーブを打つステファニ(奥)とリターンする柴原。ステファニはアドサイドでもキックサーブはあまり使わずスライス系のサーブを打つことが多いようです。

ダブルスはリターンサイドが決まっているので、担当でないサイドでのリターン練習はしません。そのためステファニがデュースサイドからサーブを打つときには柴原はリターンに入らず、代わりに柴原のコーチがリターンに入っています。同様に柴原がアドサイドからサーブを打つときにも柴原のコーチ(ヒッティングパートナー?)がリターンに入っています。

練習終了

柴原は練習で使ったボールにサインをしてスタンドに投げてくれました


柴原24歳、ステファニ25歳とほぼ同世代で二人ともアメリカの大学に進学しており、ダブルスを組むのは初めてですが学生時代にたくさん試合をする機会があったそうです。

www.olimpiadatododia.com.br

そのステファニは昨年のUSオープン以降怪我でプレーをしておらず、事前の報道では今回の東レがその復帰戦となるはずでした。しかし、実際には今大会の前週のチェンナイの大会で復帰し、なんといきなり優勝してしまいました。実はそのチェンナイでペアを組んでいたのが、今大会初戦の対戦相手のダブロウスキです。

www.tennis.com

そのダブロウスキとパートナーのオルモスは柴原とステファニの練習終了後にショーコートにやってきました。柴原とステファニが1時間近く練習していたのに対し、ダブロウスキとオルモスは20分ぐらいしか練習していなかったと思います。今大会で初めてペアを組む柴原とステファニと違ってこの二人は年始から組んでいるので、そんなに細かい確認が必要ということもなく、あくまでコートに慣れに来た程度なのだと思います。

 

コートにやってきていきなり二人はボレー対ストロークを始めるオルモス(左)とダブロウスキ

サーブを打つオルモス

リターンを打つダブロウスキ。先週のチェンナイで優勝している彼女は日本に到着したばかり。恐らくこの時間は彼女が有明のコートサーフェースに慣れることを目的にした時間だったのだろうと思われます。

練習で使ったボールをスタンドにプレゼントして帰っていくオルモス。日本語で「ありがとう」と言ってコートを去っていきました。陽気で気さくな印象の選手でした。

両ペアの試合の模様はまた別の記事にてアップしたいと思います。

2022年 東レ パン パシフィックオープン  観戦記⑤

2022年9月18日 予選決勝

西郷里奈 2-6 6-3 6-0 村松千裕

コイントス。左が西郷、右が村松

奈良くるみのシングルス引退試合の直後に始まったのがこの試合。会場は奈良の試合で最大の盛り上がりを迎えてしまった後だったうえ、日本人同士の対戦となってしまったためどっちかを凄く応援するわけにもいかず、会場の温度は正直低めでした。ただ、個人的には見て良かったと思う試合でした。

 

私は両選手ともこの試合で初めて観たのですが、割と早い段階で両者がどんなことがしたいのか良くわかる試合でした。この試合の争点はとてもシンプルで、村松が打つループボールからの展開に西郷がどう対処するかということでした。村松は深いループボールを打って相手にもループボールを打たせ、そのボールを高い打点からのフォアで強打するというパターンを得意としています。

 

西郷も事前にそのことはわかっていた様子で極力ループボールに対してループボールで応じず、フラット系の低いボールで返球しようとしていました。ただ、ループボールを処理するときにライジングではなく下がって処理するため、ひとたびループボールを打たれてしまうと村松にとって脅威となるような返球は出来ていなかったように思います。そのため西郷は、そもそも村松にループボールを打たせないようにするため、低くて速いフラット系のショットで村松を左右に揺さぶっていく戦術を用いており、これには一定の効果はあった様子でした。ただやはりリスクの高いプレーなので要所でミスが出てしまい、第1セットは1時間弱と内容的には競ったにも関わらずスコアの上では6-2と差がつきました。

 

村松はサーブもボレーもグリップが少し厚め。サーブのグリップが厚いのはレフティーなのでスピンサーブに対するニードが少ないこともあるのでしょう。実際、サーブはファーストもセカンドもスライス系でした。

多用するショットではなかったですが、スライスも上手でした。

村松の攻撃の起点となるループボール

相手がループボールで応じてきたらすかさず前に入って、高い打点で強打します。

村松(手前)のループボールにポジションを下げさせられる西郷(奥)

第2セットは西郷のサーブから始まりますが、いきなり村松にブレークを許します。こなま一方的な展開になるかと思われましたが、西郷の非凡な才が見られたのはここからでした。

 

第2セット中盤から第1セットではミスになっていた西郷のフラット系のショットが次第にコートに収まるようになってきます。こうなると村松は思うようにボールを持ち上げられなくなり、逆に西郷との低いボールの打ち合いにつきあ合わされる形になっていきます。こうなると西郷のストロークにはどんどんリズムが出てきて気づけば1-3から5ゲーム連取で逆転してセカンドセットをものにします。

第2セットは西郷のサーブから。ウェアを着替えて臨みます。

西郷のサービング・フォー・ザ・セット。この時点で試合時間は2時間に達しています。

第3セットに入り村松は懸命にループボールで西郷の勢いを止めようと試みますが、西郷はループボールが少しでも浅くなればフォアに回り込んで叩いてプレッシャーをかけ、試合の終盤には村松からループボールのミスを引き出せるようになっていました。結局最終セットは完全に西郷が主導権を取った形で試合終了となりました。

浅く入ったループボールを叩く西郷

試合終了

オンコートインタビュー

人生初だというサインボールの打ち込み。サインをするのにも結構時間がかかっていたので、もしかしたら楷書で書いていたのかもしれません

西郷の見事な1セットダウンの1ブレークダウンからの逆転勝ちでした。劣勢の場面でも自分を信じてフラット系のショットで攻撃をし続けたメンタルの強さと相手のショットに順応していける適応力の高さを感じました。

 

敗れてしまった村松も良いテニスだったと思いますが、ループボールからの展開を封じられたことで攻め手を失ってしまったことが痛かったです。彼女に何かもうひとつ武器があればまた違った結果になっていたのかもしれません。

thedigestweb.com

 

WTAツアーのデビュー戦でいきなり本戦進出を決めた西郷は、この翌日行われた本戦1回戦でペトラ・マルティッチにストレートで敗れています。村松との試合が2時間越えでしたし、予選2試合からの3日連続で試合になってしまったのでかなり疲れもあったのではないかと思います。主催者側ももう少し日程を配慮してくれても良かったのではないかと思うのですが…。21歳とまだまだこれからの選手ですので、今後に期待したいと思います。

news.tennis365.net

楽天ジャパンオープン2022 ダブルス出場選手発表

シングルスに続き、ダブルスのエントリーリストが公表されました。

www.dartsrankings.com

 

シングルスの選手もだいぶ同週開催のアスタナオープンに持っていかれてしまいましたが、ダブルスではさらに差がついてしまいました。アスタナオープンの本戦カットオフは52位に対し、ジャパンオープンは157位となっています。

 

↓シングルスの話題はこちら

doublesgeek.hatenablog.com

 

↓参考までにアスタナオープンのダブルスの選手リスト

www.dartsrankings.com

 

具体的に出場選手の中身をみるとシーズンを通じて組んでいるペアが少なく急造のペアが多いです。コキナキス / キリオス、エブデン / パーセル、マトス / ヴェガ=フェルナンデス、Doumbia / Reboul、ヨーランソン / マクラクランの5組以外はパートタイムのペアです。

 

また、シングルスの選手が多く出ていてダブルスの選手が凄く少ないのが今年の特徴です。本戦ドローに入ることが発表された13組26人の選手のうち、ダブルスプレーヤーといえるのはパーセル(シングルスの予選もでますが)、エブデン、マトス、ヴェガ=フェルナンデス、ピアース、Doumbia、 Reboul、ヨーランソン、マクラクラン、メロ、エスコバル、ラマナサンの12人で、これは例年に比べるとだいぶ少ないです。そしてこの12名のうちヨーロッパの選手はヴェガ=フェルナンデス(スペイン)、Doumbia、 Reboul(いずれもフランス)、ヨーランソン(スウェーデン)の4人しかいません。やっぱりマスターズ1000上海が開催されないと遠いアジアには来てくれないみたいです。

 

以下に簡単に選手紹介を作りました。シングルスプレーヤーの扱いはだいぶ雑なので(笑)悪しからず。

今年の全豪オープンを制したペア。出場ペアの中で一番ランキングが高いですし、ラインナップを観てもこのチームの脅威となりそうなペアは他にいないので、現時点では優勝候補の筆頭です。後は基本的にシングルス優先の二人がどのくらいダブルスを頑張るか次第な気がします。

今年の全豪で準優勝、ウインブルドンで優勝と大活躍にも関わらず、ウインブルドンのポイントがつかないせいでランキング的には伸び悩んでいるペア。パーセルジャパンオープン初出場。エブデンはこれまで何度も日本に来てくれている選手。個人的には彼にジャパンオープンのタイトルを獲らせたいです。

マトスはブラジル、ヴェガ=フェルナンデスはスペインの選手です。今年から組んでいますが着々と力をつけており、チャレンジャーで1大会、ATP250で2大会の優勝があります。ともにストロークの強い選手なのでサーブ&ボレーをせず雁行陣で戦うのが特徴です。リターンはウェガ=フェルナンデスがデュースサイド、左利きのマトスがアドサイドを担当します。

オーストラリアのピアースはダブルス専門の選手ですが、パートナーの選手が療養中のため、現在はいろいろな選手とパートタイムでペアを組んでいます。今回組むエバンスとは今年の北米シーズンを一緒にプレーしており、マスターズ1000モントリオールでは決勝に進出しています。

二人とも名前を聞いたことがない選手だったので調べたところ数年前から組んでいるフランスのペアのようです。二人とも今年に入って初めてダブルスランキングで100位以内に入ってきました。普段はATP250とチャレンジャーが主戦場のようで、ATP500レベルの本戦は二人にとっては大きな舞台です。

スウェーデンのヨーランソンと日本のマクラクランのペアです。マクラクランの地元である今大会の2週間後にはヨーランソンの地元スウェーデンでの大会が控えており、頑張らなくてはいけない期間が続きます。今大会は全体的な選手のランキングが低いのでうまく波に乗れれば優勝の可能性もあると思います。

シングルスプレーヤーのマクドナルドとダブルスプレーヤーのメロのコンビ。恐らく組むのはこれが初めてだと思います。メロは2mを超える長身の選手です。2015年のジャパンオープンダブルスで優勝の経験があります。

  • マルティネス / ノリー

シングルスプレーヤー同士のペアです

エクアドルエスコバルは左利きの選手でダブルスを専門としています。ストロークが強いのでサーブ&ボレーせず雁行陣で戦うことを得意としています。これまでずっとウルグアイの選手と固定でペアを組んでいましたが、どうやらその選手とはペアを解消した様子。今回のパートナーのジャリーは基本的にはシングルスプレーヤーですが、ダブルスのツアータイトルも持っていてる選手です。

  • ケツマノビッチ / ソウザ

シングルスプレーヤー同士のペアです

  • デミノー / ティアフォー

シングルスプレーヤー同士のペアです

  • ポプリン / ラマナサン

ラマナサンはインドのダブルスプレーヤーです。年始の2大会で立て続けに優勝していますが、以降はあまり活躍できていません。主にATP250とチャレンジャー大会を回っている選手でATP500はわりと彼にとっては大きな舞台になります。パートナーのポプリンはシングルスプレーヤーです。

シングルスプレーヤー同士のペアです。

*予選出場のペア

ジレ / ブリーゲン、シュナー / スミス、ナカシマ / リーセの3組が発表されています。ジレ / ブリーゲン、スミス以外の選手は正直良く知らない選手です。 予選を観て勉強してきたいと思います。

2022年 東レパンパシフィックオープン 観戦記④

2022年9月18日 シングルス予選決勝

イサベラ・シニコバ  0-6 7-5 6-0  奈良くるみ

入場する奈良くるみ

コイントス。勝ったシニコバがサーブを選びました。

ベンチの隣にあるポカリスエットのロゴが描いてある箱の中には、ポカリスエットが入っています。たぶん中は冷えているんだと思うのですが、奈良はそこから三本取り出して足元に置いていました。常温に戻してから飲みたいということなのでしょうか?

試合開始

今大会で引退を表明している奈良の試合は間違いなくこの日最大の注目試合でした。お客さんの多くも奈良の試合目当てで来ていた様子で、第1試合の終盤からかなりお客さんが入ってきていた印象です。

 

第1セットは完全に奈良の圧勝ムードでした。相手のシニコバは強打したときの威力こそありますが、ラリー戦の中では奈良の守備を崩すことができず、逆に少しでも甘いショットがあれば奈良の方が先に仕掛けてポイントを取るという形になりました。なかなか主導権の取れないシニコバは「さらに強打する」という作戦しか取れず、そうなったことでますますアンフォースドエラーが増え、ほとんど危なげない形で奈良が第1セットをものにしました。

フォアを強打するシニコバ。一発の威力はありますがミスも多いという印象でした。

第1セット0-5の場面でシニコバはメディカルタイムアウトを取ります。実際にそんなにどこかを痛めた感じはなかったので、これはいわゆる流れを変えるためのメディカルタイムアウトだったのだろうと思います。

メディカルタイムアウトが終わるまで、身体を冷やさないようにして待つ奈良。

第1セットは32分で終了

第1セットが終わった時点で誰もが昨日のメリカ=マルティネス戦と同じ楽勝を予想したと思います。しかし、テニスの難しさはここからでした。第2セットの第1ゲームでシニコバはこの試合で初めてのキープに成功します。するとここから少し力が抜けたのか開き直ったのかわかりませんが、第1セットエラーの多かったフォアの強打が次第にコートに収まるようになってきはじめ、第2ゲームの奈良のサーブをブレークしてしまったのです。こうなると第1セットでは観られた奈良から展開するパターンはほぼ無くなり、「シニコバが決めるか」「シニコバがミスるまで奈良が粘り切れるか」のどちらかでポイントが決していくような状態になっていきました。この後第3,4,5ゲームにかけてブレーク合戦となり、2-3で迎えた奈良のサービスゲームでこのセット初のサービスキープで3-3とし、スコア、ブレーク数ともに追いつきます。しかし、この後も奈良はサービスキープに苦しみます。第8ゲームでサーブをまたブレークされ、直後の第9ゲームでなんとかブレークバックするものの、第12ゲームのサーブも落としてしまい5-7でこのセットを落とします。

なぜか虫に好かれるシニコバ

第1セットではミスになっていた強打がコートに収まるようになります。

5-5に追いつきガッツポーズを作る奈良。結果的にはこのゲームが奈良のシングルスで最後に取ったゲームとなりました。

第3セットは完全にシニコバのペースでした。これまで全て強打だったシニコバは第2セットを取ったことで奈良とストローク戦になっても大丈夫だという自信を深めた様子で、つなぐボールと強打するボールにメリハリをつけてきました。逆に奈良の方は第2セットで試合をまとめ切るために全エネルギーを使ってしまった分、プレーの質を上げてきたシニコバに対処することが出来なくなってしまった印象です。シニコバに次々とウィナーを決められてしまう上に、自身のアンフォースドエラーはどんどん増えてしまい、流れを取り戻せないまま0-6でファイナルセットを落として試合終了となりました。

0-5でのコートチェンジ。奈良はいつも通りのグリップを拭くルーティンを行ってコートに戻りました。

試合終了

1時間46分の激闘でした

敗者には通常オンコートインタビューは無いのですが、さすがに今回はありました。奈良は涙を拭いながら応えています。

VIP席には応援に来ていた加藤、穂積、土居の姿が。実はこの試合と並行して土居のサイン会があったのですが、その間もこの試合の様子が気になって仕方ない様子だったとのこと。

ちなみにシニコバは奈良のオンコートインタビューの間ずっとスマホを操作していました(笑)。実は奈良が今大会で引退であることを知らなかったらしいです。彼女がWTAの本戦でプレーするのはこれが初めてとのこと。恐らく家族や友人に報告をしていたのではないかと思います。

シニコバのオンコートインタビュー。彼女の予選1回戦はショーコートだったので、東レでのオンコートインタビューはこれが初めてになります。

サインボールの打ち込みに慣れてなかったのでしょう。
ラケットを閉まってしまっていたので、もう一度ラケットを出しています。

サインボールを打ち込むシニコバ

勝ったシニコバはこれが初のWTA本戦です。1回戦で第6シードのプリスコバと対戦になります。

 

敗れた奈良は残念ながらシングルスはこれで最後の試合となりました。土居美咲とのダブルスに期待したいと思います。土居 / 奈良は1回戦でケニン / サムスノワと対戦になります。

 

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