「ゴンザレス」違いでは?
ATPのトップページには各週のレースランキングの上位10位が写真付きで公開されています。
ところがちょっとした間違いが起きています。ダブルスレースランキング8位はこのブログで時々名前を出しているゴンザレス / モルテニ組なのですが、写真が間違っているます。ここでの「ゴンサレス」はメキシコのサンチャゴ・ゴンサレスなのですが、写真はアルゼンチンのマッシモ・ゴンサレスのものが使われています。ゴンサレス違いですね(笑)。
不可解なブラジルのダブルスのオーダー
少し前の話になりますが、3月4日、5日にかけて行われたデビスカップの話をしたいと思います。日本はスウェーデンと対戦していましたが、それと同時に各国で試合が行われていました。
その中で気になったのがブラジル vs ドイツの対戦です。結果から言えばドイツが3-1でブラジルを下して勝利したのですが、私が引っ掛かったのはブラジルのダブルスのオーダーでした。
ブラジルはここ数年ほとんどダブルスはメロ / ソアレスのペアを起用してきました。実績の面でも共にグランドスラムでの優勝経験のあるこの二人はブラジルテニス界の中でも突出した実績を誇ります。今回も事前のメンバー登録にはこの二人の名前があり、当然このペアでダブルスに出てくるものと思っていました。
ところがいざ蓋を開けてみるとダブルスのオーダーはメルジェニ / ソアレスのペアでした。最初メロが起用されなかったのは、故障かなにかがあったからなのではないかと思っていたのですが、どうやらそういわけではないようです。
↑こちらの記事によるとメロを起用しなかったのは監督の判断とのことで、メロの故障ではないようなのです。監督の説明によるとその理由は「気象条件」らしいのです。つまり今回の気象条件であればメロではなくメルジェニを起用した方が良いという判断だったとのことなのです。具体的にどういうことなのかはこれ以上は書かれていませんでした。
これは不可解なことが多い判断です。というのも今回はブラジルがホームの対戦でした。もし本当に気象条件が理由ならばメロは母国でのプレーに向いていないと言われたも同然になります。そもそもテニス選手は世界中を回っていろいろな環境下でプレーすることに慣れています。どんな気象条件であったって世界ランキング92位のメルジェニより世界ランク41位のメロの方が良いプレーをする可能性の方が高いでしょう。
あまり考えたくはないのですが、メロとソアレスの間に何か確執があったのではないかということを疑ってしまいます。2010、2011年とこの二人は組んでツアーを周っていましたが、それ以降はデ杯やオリンピックといった国の代表としてプレーする大会=同国人同士でしか組めない大会以外は積極的には組んでいません。つまり元々そんなに仲は良くないのではないでしょうか。私の杞憂に過ぎないと良いのですが…。
ハイレベルなチャレンジャー大会、アリゾナ・テニス・クラシック
3月15日から3月20日にかけて行われるチャレンジャー大会、アリゾナ・テニス・クラシックはチャレンジャー大会としては大変ハイレベルなトーナメントになっています。
今年で2019年に続き2回目の開催となる今大会。ダブルスの第1シードは東京五輪金メダルのメクティッチ / パビッチ、第2シードはマウ / マルタン、第3シードはミース / パーセル、第4シードはべアル. / エスコバルと全員グランドスラムでもシードが付くレベルの選手ばかりです。
これには理由があって、3月10日から開幕しているマスターズ1000インディアンウェルズの初戦で負けてしまった選手達がこちらに流れてくるためなんですね。だいたいインディアンウェルズに出ている選手達はこの後3月23日から開幕するマスターズ1000マイアミにも続けてエントリーしているので、インディアンウェルズで早期敗退してしまうとマイアミが開幕するまでの間にプレーをしない期間が出来ます。その間に試合数を稼いでおきたい選手達がちょうどマイアミ開幕までの間にあるアリゾナ・テニス・クラシックにエントリーするというわけです。
さようなら、フレデリック・ニールセン
ニールセンは最高位17位を記録したダブルスのスペシャリストです。上の記事にもある通り、2012年のウインブルドンのダブルスのチャンピオンでもあります。この時はイギリスのジョナサン・マレーとのペアでワイルドカードでの出場で優勝という快挙でした。加えてこの時の優勝が彼にとってのツアー初タイトルなので、ウインブルドンの優勝がツアー初タイトルという大変珍しい形になった優勝でした。
先日行われたデビスカップワールドグループⅠプレーオフのインド vs デンマーク戦のダブルスが現役最後の試合となりました。残念ながらインドのボパンナ / シャランの強豪ペアにフルセットで敗れてしまい、この敗戦でチームとしての敗退も決まってしまったので、有終の美とはいきませんでした。
既にニールセンは選手とデ杯監督を兼任している身です。加えて上の記事によるとデンマークテニス協会のナショナルコーチを務めることが決まっているようです。前とは形は違えどデンマークのテニス界を支えていくことは変わらないでしょう。ひとまず、お疲れ様でした。
ウクライナ代表がデ杯で勝利
先週末行われたデビスカップワールドグループⅠプレーオフでウクライナがバルバドスを破りワールドグループⅠ残留を決定しています。本来はウクライナで開催される予定だったこのデ杯の対戦は、昨今の情勢を踏まえてトルコで開催となりました。
ウクライナの監督は選手も兼任するモルチャノフです。モルチャノフは一つ前の記事で名前を出したルブレフとダブルスを組んでいた選手。ダブルス専門の選手とはいえ、彼が両国で唯一世界ランキング100番以内(ダブルスランキング83位)の選手なので、実績では頭一つ抜けています。しかし、今回は相手国のバルバドスと相当実力差があるためなのか、監督業に専念し試合には出ませんでした。モルチャノフ監督はエースのマルチェンコ(シングルスランキング217位)と若手のKRUTYKHを単複の両方で起用し、いずれもストレートで勝利し3-0でバルバドスを下しています。
ひとまずウクライナテニス界にとっては明るいニュースとなり良かったです。
ロシアによるウクライナ侵攻、テニス界にも波紋が広がる
ロシアはテニスファンにとってはなじみ深い国の一つです。かつては男子ではサフィン、カフェルニコフ、女子ではシャラポワ、ミスキナ、ディメンティエワといったスター選手を多く輩出しました。現在も男女を通じてテニスの強い国の一つです。
そのロシアのメドベージェフが男子シングルスの世界ランキング1位になりました。ビッグ4以外の選手が世界ランキング1位になるのは18年振りとのこと。フェデラーとマレーにほとんど活躍が無い今、ナダル、ジョコビッチ、メドベージェフでビッグ3の時代に変わってきたような印象を受けます。
それにしても気まずいタイミングでロシアの選手が1位になってしまいました。現在、ロシアが隣国のウクライナに侵攻するという、およそ2022年の出来事とは思えない事態が起こっています。どうしたってメドベージェフにはランキング1位になったこと以上に、こちらの話題についてのコメントが求められてしまっている状況です。
同じくロシアのルブレフも試合後に、「No War Please」とサインをしたことが話題になりました。実はルブレフはロシアによる空爆が開始される直前に行われていたフランスの大会でウクライナのモルチャノフと組んで優勝しています。↓のインタビューによるとルブレフがまだ10代の頃にモルチャノフと練習をしてもらったことがあったようですね。テニスは下部ツアーを周っている間は自国の周辺の大会を周るのが普通なので、政治的には対立している隣国の選手と一緒に練習して仲良くなるケースは結構あるようです(インドのボパンナとパキスタンのクレシとかもそうでした)。
一方で1月で現役を引退したスタコフスキが軍務に就く可能性があるという、非常にテニスファンとしてはショックの大きいニュースが報じられました。
テニスファンとしてはこの侵攻のことを気にせずに素直にテニスを楽しめる日が来ることを祈るばかりです。
A.ゴランソン / E.イメール vs マクラクラン勉 / 内山靖崇
2022.3.4 デビスカップ予選ラウンド スウェーデン vs 日本
ゴランソン / イメール 2-6 7-6(7) 7-5 マクラクラン勉 / 内山靖崇
↓こちらでアーカイブ配信があります。
youtubeで鈴木貴男の解説もありますので、こちらも併せての視聴をお勧めします。
スウェーデンのメンバーを見たときにダブルスはゴランソン / マダラスで行くと思っていましたが、メンバー変更でイメール兄弟の弟、エリアス・イメールを起用しました。昨日ダニエルに勝利したことを受けての変更だったのか、最初からここで変えるつもりだったのかはわかりません。そのイメールはやはりダブルスに不慣れということもあってプレーの質にムラが結構あったように思います。
そこを救ったのはゴランソンの勝負強さだったと思います。流石にランキング2桁台(68位)の選手だと思いました。変なミスはほとんど無かったと思います。パートナーのイメールがミスしても彼のプレーで取り戻すということが多く観られました。結果スウェーデン組があと一本を日本に捕らせず、主導権を日本に渡しませんでした。もつれてくると足に故障を抱える内山がプレーのギアを上げられなくなってしまい、スウェーデンが寄り切ったという印象です。
日本ペアはマッチポイントを握りながらの敗戦。正直痛い敗戦でした。これでマクラクラン / 内山は4連敗です。デ杯に関して言えば3年前の中国戦に続けて2度目のマッチポイントからの逆転負けになってしまいました。