A.クライチェク / T.サングレン vs M.ダニエル / M.ビーナス
東京2020 オリンピック 男子ダブルス3位決定戦
ダニエル / ビーナス 7-6 (3) 6-2 クライチェク / サングレン
応援しているダニエルがオリンピックの3位決定戦に勝ち上がってきてくれました。以前このブログで取り上げましたが、この選手は慈善事業への取り組みを熱心に行っている選手で、今年は獲得賞金の10%を寄付金に回すことを表明しています。
ダニエルのパートナー、ビーナスは長年にわたりニュージーランドのダブルスのトップの選手で、グランドスラムのタイトルも持っている実力者です。ダニエルとは国別団体戦(デビスカップ)でダブルスを組んでいますし、前回のリオ五輪もこのペアで出ています。
相手のアメリカはサングレン / クライチェクのペア。正直ベスト4に残ったペアでは一番意外なペアでした。サングレンはシングルスの選手、クライチェクはダブルス専門の選手です。どちらもアメリカの選手らしいパワープレーを得意としています。
ニュージーランドサポーターとしては第1セットは非常にもどかしいセットでした。明らかにこの試合の流れはニュージーランド側にも関わらずどうしてもブレークできないまま、5-6でダニエルのサーブを迎える形になりました。4人の中ではダニエルのサーブが相対的に最もスピードが遅いので、アメリカペアもここでプレッシャーをかけてきましたが、このゲームで相手にブレークポイントを与えずにキープできたのがニュージーランドペアとしては大きかったと思います。タイブレークはアーリーブレークで先にリードを奪ったニュージーランドペアが、堅実なプレーでそのリードを守り切りました。
第2セットは第2ゲームのサングレンのサーブをブレークしたことで、ニュージーランドが流れを掴んだかに思えましたが、第4ゲームでアメリカペアが苦しみながらもサーブをキープしたことをきっかけに、アメリカペアが持ち直しはじめてわからなくなりました。特に第5ゲームでそれまで安定していたビーナスのサービスでピンチを迎えたときはヒヤリとさせられました。結果的にはニュージーランドペアがこれをはねのけ、第8ゲームのクライチェクのサーブをブレークして試合終了となりました。
私はNHKのサイトでこの試合を観ていたのですが、英実況によるとニュージーランドがテニスでメダルを獲得するのは初めてのことらしいです。試合後、ベンチで泣いているダニエルの姿が印象的でした。
→訂正します。こちらによると1972年以来とのことです。多分私の聞き間違いだったんだと思います。
危ない場面もありましたが、終わってみればアメリカペアに一度もブレークを許さないストレート勝ちでした。ダニエル、ビーナスともにダブルスのスペシャリストらしいポジション取りと配球の上手さが随所に光ったと思います。
下の記事で取り上げた通り、今年のオリンピックはシングルスランキング優先でダブルスの出場権も決まる形になっていたので、今回のアメリカペアのようにシングルス選手とダブルス選手というペアが非常に多かったのが印象的でした。その中で、ダブルススペシャリスト同士のペアがメダルを獲得したのは、ダブルス全体としても価値ある出来事だったと思います。
歴史を作ったニュージーランドの二人は、次はそれぞれ別のパートナーと組んでアメリカのシティ・オープンにエントリーしています。現段階だとビーナスはイギリスのニール・スクプスキ、ダニエルはパキスタンのクレシとペアを組むことになっています