コーリーはどこ行った?
全豪オープンのシングルスのエントリーリストを見て気になっていたのですが、”コーリー”の愛称で知られるドイツのコールシュライバーの名前がありません。ランキング的にはストレートインのはずなのですが…。全豪だけでなく他の前哨戦にも名前がありません。気になったので調べてみたところ、今のコールシュライバーがどんな状態なのかの情報は手に入らなかったのですが、彼が自身の引退についての考えを述べている記事を見つけてしまいました。
この記事は昨年の5月にアップされたものです。タイトルの通りなのですが、コールシュライバーは自身の引退について″前もってこの大会が最後になるとアナウンスすることはしない”と述べているのです。つまり、ある日突然もうプレーしませんという宣言をするということですから、ファンとしては一番やきもきする状況です。加えて″若手を助けることの面白さを感じている”という趣旨のコメントもしていて、なんだか引退してしまう雰囲気全開の記事でした( ;∀;)
現在のランキングは97位ですが、全豪に出ないとなると45ポイントのドロップによって2006年3月から維持してきたトップ100からの陥落は免れない状況です。逆に言えば、全豪に出場する意思がないということは、ランキングを維持する意思が無いということですから、やはりこのまま引退という可能性が高いのではないかと思われます。
個人的にはボールの緩急と高低差を巧く使う彼のテニスが好きだったのですが…。37歳という年齢を考えるとそろそろ潮時ということなのかもしれません。
カルロビッチが41歳でマッチ勝利
現在開催されているデルレイビーチオープンで”大先生”ことカルロビッチがアンドゥハルを下して初戦を突破しました。既に多く報道されている通り、この試合での勝利は1995年にコナーズが達成した42歳9か月に次いで、2番目に年長のATPツアーでのマッチ勝利ということになります。
カルロビッチは1979年2月28日生まれなので、コナーズの記録を抜くためには来年の今頃にも勝たなくてはいけないということになります。なんだかこの人なら普通にやってくれそうな気がしますね(笑)。ATPの記事によれば、カルロビッチにとってテニスはもう自身のプライオリティの1位では無いとのことですが、ファンとしてはできるだけ長く活躍して欲しいと思います。
今回のカルロビッチの勝利に対し、クロアチアの元エースにして、現フェデラーのコーチのルビチッチも祝福のツイートをしています。このツイートで出てくるダブルスの勝利というのは二人が(恐らくワイルドカードで)出場したクロアチアオープンでのマッチ勝利で、この勝利はカルロビッチにとってもルビチッチにとっても初のツアーレベルでのマッチ勝利でした。
26 years ago (1995) @ivokarlovic and I won doubles match on Atp Tour in Umag.... Ivo still winning on that same tour.... Legend
— Ivan Ljubicic (@theljubicic) 2021年1月9日
カルロビッチのダブルスでのツアー初勝利は上述の通りなのですが、シングルスでは2002年のインドのタタオープンでの勝利がツアー初勝利ということのようです。
最後に、この試合で負けてしまった方のアンドゥハルについてこんなツイートを見つけました。試合中にノットアップだった(2バウンドでボールを取った)ことを自ら認めたポイントがあったようです。ノットアップだったかどうかは意外と判断がつきにくいものだと思うのですが、素晴らしいスポーツマンシップですね。
Cool show of sportsmanship from Pablo Andujar.
— Blair Henley (@BlairHenley) 2021年1月9日
Didn't reach a short ball before the second bounce. "Not up" was not called. Andujar conceded the point to Karlovic anyway. 👏#DBOpen
マルク・ロペスの再始動
一つ前の記事で上げた全豪オープンのエントリーリストにはマルク・ロペスの名前があります。このところめっきり名前を聞かなくなってしまったと思っていたら、なんと昨年は3大会しか出てなかったんですね。それも全て1回戦負けで、今年の年末ランキングは327位まで落ちてしまっています。
怪我でもしていたのかと思って調べてみたらこんな記事を見つけました。この記事の中でロペスは″プレーをしなかったのは(試合の結果が悪かったからではなく)メンタルの問題だった”と述べています。(″不安とストレス診断された”とも書かれていますが、鬱病ということなのでしょうか?)
ロペスがメンタルの問題を抱えるきっかけになったのは恐らく2019年に報道されたフェリシアーノ・ロペスとのダブルスでの八百長疑惑でしょう。上述の記事でもメンタルについての診断を受けたのは2019年の全仏の後と書かれていますから、時期的にも一致しています。八百長の真偽のほどは分かりませんが、二人になにか処分が下ったという報道はないので恐らく決定的な証拠は無かったのだろうと思います。個人的にもこの二人は白なのではないかと思います。
今年の初めにはそのフェリシアーノのコーチに就任し、プレーヤー兼コーチとなることが報道されましたが、現在のフェリシアーノのプロフィールのコーチ欄は空欄になっているので恐らくコーチ業も休業状態と思われます。
そんなロペスが最初のインタビュー記事でのコメント通り、来年1月の全豪で復帰してきます。パートナーはカレーニョ・ブスタです。この二人は一度だけデ杯でペアを組んだことがありましたが、そのときは敗れています。そうは言ってもカレーニョブスタのダブルスランキング54位というのはスペイン国内では2番目に高いランキングです。復帰戦のパートナーとしては心強いのではないでしょうか。まずはとにかく1試合勝って欲しいと思います。
年始の大会のエントリーリスト
デルレイビーチオープン、アンタルヤオープン、オーストラリアンオープンのエントリーリストが発表されました。
Acceptance list doubles
— Luca Fiorino (@FiorinoLuca) 2020年12月25日
Delray Beach 👇 pic.twitter.com/hxUlFZyaF7
Acceptance list doubles
— Luca Fiorino (@FiorinoLuca) 2020年12月24日
Antalya 👇 pic.twitter.com/GtfILQ4XVd
Australian Open Doubles provisional seeds and field: pic.twitter.com/c5qTCUczYb
— DT (@DartsTennis) 2020年12月24日
このエントリーリストで中堅所のダブルスペアがはっきりしました。スクプスキ / スクプスキ、デモリネル / ゴンサレス、カシッチ / ニールセン、バンブリッジ / イングロット、ブキッチ / クレシあたりが組んでいくようです。
動向が気になるのがロジェです。今シーズンはメロと組むことを表明していますが、前哨戦ではアレバロと組んでおり、全豪オープンにはエントリーリストには名前がありません。これはいったいどういうことなのでしょうか。
ロジェ / テカウの解散
前の投稿で述べたパビッチ / ソアレスの解散にも驚きましたが、ロジェ / テカウの解散も衝撃でした。下のニュースによるとテカウに出場大会数を減らして、家族と過ごす時間を増やしたいという意向があったようです。ということは今後テカウは特定の選手とペアを組んでツアーを周るということは少なくなり、自身のスケジュールに合わせてその都度空いている選手と組むという形になっていくのではないか思われます。
一方のロジェは来季はメロと組むようです。調べた限りこの二人が過去に組んだことはないようです。二人とも直近のペアではデュースサイドを担当していましたが、恐らくこのペアではロジェがアドサイドに入るのではないかと思われます。
ただ、ジャーナリストのLuca FiorinoのTwitterによると、全豪に関してはメロ / ロジェではなくメロ / テカウで出るようですね。これはどういうことなのか、現時点ではちょっとわかりませんでした。
Other doubles team for AO 2021
— Luca Fiorino (@FiorinoLuca) 2020年12月22日
Ram / Salisbury
Shapovalov / Pospisil
Auger-Aliassime / Hurkacz
Krawietz / Mies
Melo / Tecau
Krajinovic / Lajovic
Kecmanovic / Ruud
Arneodo / Paire
Bopanna / J. Sousa https://t.co/HgO5pApWXV
マレー / ソアレスのペアが復活!!
イタリアのジャーナリストLuca FiorinoのTwitterに既に全豪オープンにエントリーしているダブルスペアが発表されました。なかなか衝撃的です。
Some doubles teams confirmed for AO 2021 🇦🇺
— Luca Fiorino (@FiorinoLuca) 2020年12月20日
Cabal / Farah
Mektic / Pavic
Kubot / Koolhof
Herbert / Mahut
Murray / Soares
Dodig / Polasek
Peers / Venus
Kontinen / Roger-Vasselin
Chardy / Martin
Haase / Marach
Klaasen / McLachlan#AO2021
+++ BREAKING NEWS +++
— Luca Fiorino (@FiorinoLuca) 2020年12月22日
Marcelo Melo and Horia Tecau partner up to play Australian Open 2021
✅ Melo-Tecau
❌ Melo-Rojer#AO2021
- カバル / ファラ
- メクティッチ / パビッチ
- クボト / クールホフ
- エルベール / マウ
- マレー / ソアレス
- ドディグ / ポラセク
- ピアース / ビーナス
- コンティネン / ロジェ=バセラン
- シャルディ / マルタン
- ハーセ / マラック
- クラーセン / マクラクラン
- メロ / テカウ
以上の11ペアが発表されました。
なんと言っても驚いたのが昨シーズンの年間No.1だったパビッチ / ソアレスのペアが解散となったことです。グランドスラム2大会で決勝に進出したペアが解散してしまうとは思いませんでした。こちらの記事と下の記事の内容を総合するとパビッチが主導でソアレスとのペア解消とメクティッチとのペア結成を決めたようです。
上述の記事によればパビッチがメクティッチとペアを組むことを決めたのは来年のオリンピックを見据えてのことのようです。これまでパビッチは自国の選手とダブルスを組むときはドディグと組むことが多かったのですが、昨シーズンはドディグが不調だったため、躍進してきたメクティッチに白羽の矢が立ったのでしょう。意外にもこの二人が組むのはこれが初めてでだそうです。ただ、間違いなく強いダブルスなので、オリンピックのみならずグランドスラム全てで期待の持てるチームだと思います。
一方、再結成となったマレー / ソアレスですが、こちらはソアレスがフリーになったことを聞きつけたマレーが再結成を申し入れたようです。確か解散を言い出したのもマレーだったような…なんか元鞘に収まったカップルみたいですね(笑)
個人的にはマレー / ソアレスのペアは好きだったのでこの再結成は嬉しいです。このペアは組んでいた3年間毎年ジャパンオープンに出てくれていました。来年無事にジャパンオープンが開催されたら恐らく来日してくれるのではないでしょうか。(下は2018年大会に出場したときの観戦レポートです)
まずは2016年にこの二人がタイトルを獲得した全豪オープンで良い滑り出しをしてくれることを期待したいと思います。
~追記~
こんな記事もあったのでリンクを貼りたいと思います。
パエスとオリンピック
今年限りでの現役引退を表明していたパエスが引退を撤回し、2021年も現役を続行することを表明しました。
Next season marks 3️⃣0️⃣ years on tour for @leander! 😲
— ATP Tour (@atptour) 2020年12月13日
The doubles legend confirms he'll play on in 2021 👏
パエスが引退を撤回した最大の理由はオリンピックの延期でしょう。下の動画によるとパエスが既に達成している7回連続でのオリンピック出場は(恐らくテニス選手の)世界記録だそうで、次の東京五輪に出場すれば8回連続の出場ということになります。
Veteran Tennis Player Leander Paes On Tokyo Olympics 2021 | India Today eConclave
パエスの現在の世界ランキングは129位で、これはインド国内のダブルスランキングでは5番手ということになるのですが、オリンピックの出場資格という点で見るとパエスまで上位5名の内、出場資格があるのはボパンナとパエスだけなので、恐らくこの二人がペアを組んで出るのだと思います。ちなみに前回のリオ五輪もボパンナ / パエスのペアで出ていますが、この時は1回戦で敗れています。
パエスのオリンピックというとどうしても思い出してしまうのは2012年のロンドンオリンピック前のゴタゴタです。当時インドのダブルスと言えばグランドスラムでの優勝を経験しているブパシ/パエスのペアでした。しかし、この二人実は非常に仲が悪く、なんとブパシが公式に”もうパエスとは組みたくない”という声明を出してしまったのです。これに国内No.3のボパンナも同調したため、結局ロンドン五輪はブパシとボパンナのペアで出ることになり、パエスはインドのシングルスランキングで2番手だったVardhanとのペアで出場となりました。この一連の出来事については↓のブログが詳しいので引用したいと思います。ちなみにこれだけ開幕前に揉めたにも関わらず結局両ペアとも2回戦で敗れています。
パエスはダブルスでキャリアグランドスラムを達成していますが、オリンピックのダブルスでのメダルはありません。ブパシと組んで出たアテネ五輪で銅メダル決定戦を戦って敗れたのが最高成績となっています。(実はシングルスではアトランタオリンピックで銅メダルを獲得しています。当時のパエスのシングルスランキングは126位でしたから、なかなかの快挙でしょう。)正直、今のパエスにはメダル争いに食い込む力は無いと思うので、今回はまさに″出場することに意義がある”ということなのだと思います。
パエスとブパシの現在ですが、コロナの影響によるツアー休止期間中にパエスは「フライパンチャレンジ」という企画をTwitterで発信し、これにブパシが応えています。ブパシが引退して6年。ちょっとだけ仲直りできた…ということなのでしょうか?