ダブルスファンの雑記

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ウインブルドンのシード順。ナダルが苦言を呈した直後に…

良く知られている通り、ウインブルドンは他の大会とは異なる独自のシード順の決め方をしています。具体的にどうやって決めているのか知らなかったのですが、こちらのブログに大変詳しい解説があったので紹介します。

tennisboy.hatenablog.com

 

ウインブルドンだけ独自のシード順を決めるのは恐らく芝では実績のほとんどない“クレーコーター”の存在があるためでしょう。クレーを得意としている選手は直前のクレーシーズンでランキングを上げてきますが、基本的にグラスコートは不得意です。

 

例えばナダルの前のキング・オブ・ローランギャロスとして知られるグスタボ・クエルテン全仏オープンを3回優勝したクレーの強豪ですが、グラスコートではキャリア通算で14試合しかしたことがなく、その内訳も7勝7敗と芳しくありません(クレーは192勝81敗)。

 

このように、特にクレーコーター達のランキングはグラスコートでの実績を反映していないことが多いのです。そうなるとウインブルドンとしてはランキングは高いけどろくにグラスコートでの実績のない選手ではなくて、きちんとグラスコートで実績のある選手のシード順を高くしたいと考えるわけです。

 

さて、引用させていただいたブログにもある通り、ナダルがこのことについて苦言を呈したことがニュースになりました。

headlines.yahoo.co.jp

 

ナダルの主張もわかる気がします。クレーを得意とする選手が相対的にグラスコートが苦手という実態は今もありますが、トップの選手に関しては昔ほどクレーとグラスの実績に差がある選手はいません。この発言をしたナダルは全仏でもウインブルドンでもタイトルを持っていますから、両方で強い選手の筆頭とも言える存在です。

 

ところが…いざ今年のウインブルドンの蓋を開けてみると芝での実績を考慮してシード順が上がったアンダーソンが初戦を突破したのに対し、アンダーソンにシード順で抜かれたティエム、ズべレフ、チチパスが軒並み初戦で敗れてしまいました。ナダルの発言の説得力を完全に削ぎ落すような結果です。

 

長くなりましたが、個人的にはウインブルドンは独自のシード順を維持して良いと思います。そうすればベテランの選手達が昨年までのフェデラーのようにクレーをスキップしてグラスに備えるというスケジュールの組み方ができるようになるからです。グラスコートはベテランに有利なサーフェースですから、ウインブルドンのシード順はグラスコートに賭けるベテラン達の砦にしても良いのではないかと思います。