アンディ・マレーの引退
マレーの引退は衝撃的なニュースでしたね。復帰後、2回戦ぐらいで負けてしまうことが多く、なかなか調子が戻らないなぁとは思ってはいましたが、まさか引退してしまうとは思いませんでした。
マレーがBIG4の一角に加わりだしたころは、正直言ってあんまり好きな選手ではありませんでした。フェデラー、ナダル、ジョコビッチの3人に比べるとなんかコートでいつもイライラしているような印象がありましたし、トップ選手としては少し品格に欠けるような気がしていました。
そんなマレーの印象が変わったのは2011年のこと。WOWOWの放送の中で東日本大震災について色々な選手が日本に向けたコメントをしていたのですが、割と型通りのコメントをしていた選手が多かった中でマレーだけは、恐らくマレー自身の言葉なのだろうと思われるコメントをしていました。肝心のコメントが何だったかは忘れてしまったのですが、思っていた以上にマレーが誠実な選手なのだと感じた場面でした。
そしてマレーという選手の評価を完全に改めさせられたのは2012年のウインブルドンの決勝戦後のスピーチでした。当時ウインブルドンで初の決勝進出だったマレーは、イギリスファンの後押しもむなしくフェデラーに敗れて準優勝に終わりました。その時のスピーチで涙をこらえつつ精いっぱいのユーモアを交えて喋る姿に感動した人は多かったと思います。私もその一人でした。今でもマレーについて一番印象深いのはあのスピーチの場面です(スピーチの様子はこちら)。
あんなに辛かったであろう敗戦の後ですら懸命にユーモアを交えてスピーチをしたマレーが、”もう続けられない”と言うのですから、いかばかり心身が疲弊してしまっているかということでしょう。非常に寂しい幕引きです。
兄のジェイミーとせめてダブルスだけでも、と思ってしまいますが、恐らくそれはマレーの選択肢にはないのでしょう。返す返すも残念です。