ダブルスファンの雑記

プロテニスの主にダブルスについて書くブログです

マクラクラン勉 / 綿貫陽介 vs L.クボト / J.ジエリンスキ

2023.2.5 デビスカップ ワールドグループI プレーオフ

日本 vs ポーランド

マクラクラン勉 / 綿貫陽介 4-6 7-5 7-6(2) L.クボト / J.ジエリンスキ 

 

組み合わせが決まった時点でダブルスに関してはポーランドの方が圧倒的に優勢だと思っていました。何しろジエリンスキは先の全豪オープンで男子ダブルスで準優勝と勢いがありますし、クボトは今はランキングを落としているとはいえ、元ダブルスランキング1位の実力者です。さらにポーランドの監督であるフィルステンブルグも現役時代はダブルス巧者として知られていた選手です。ポーランドのダブルスの布陣は盤石でした。

ポーランド陣営。40歳のクボト(左)は場内アナウンスで“ポーランドテニス界のレジェンド”と紹介されていました。その隣の白い服が監督のフィルステンブルグ。元ダブルスランキング6位の実績があります。

⇧トスに勝った日本がサーブを選択し、綿貫のサーブで試合開始。コートエンドを選ぶ権利を得たポーランドはなぜか反対側のエンドを選んでいました(インドアなのでコートエンドは関係ない気がするのですが)

⇧第3ゲームでリターンを構えるクボト。低い姿勢で腕を大きく前に出す特徴的な構え方です。

⇧監督のフィルステンブルグが度々やっていたのがこのジェスチャー。恐らく綿貫のバックのリターンを詰まらせろという指示だったのではないかと思います。

 

試合はそのポーランドが1セットアップし、第2セット4-4でのマクラクランのサーブで3つ連続のダブルフォルトで0-40という場面を迎えます。事実上のポーランドのトリプルマッチポイントのようなものでしたが、日本ペアはよくここから巻き返しました。

 

その最大の功労者は綿貫でしょう。第1セットこそ固さがあったのか自身のダブルフォルトが絡んだ形でブレークを許しましたが、第2セット以降は格段にプレーが良くなりました。その一方でパートナーのマクラクランの調子がなかなか上がって来ず、日本ペアはスコア的にも内容的にも苦しい時間帯が長かったです。第2セットをかろうじて取り返したものの、第3セットでは調子の上がらないマクラクランのサーブを先にブレークされてしまいます。しかし、そんな中でも綿貫はチームとしてのテンションが落ちないように自分自身とマクラクランを懸命に鼓舞し続けていました。並大抵の集中力と精神力では成せないことだっと思います。

 

第3セット第8ゲームのクボトのサーブをブレークバックして4-4としたところが大きな転換点だったと思います。日本のマクラクランがこのゲームを機に明らかに良くなってきた一方で、それまで好調だったポーランドペアは明らかにジエリンスキがイライラし始め、ネガティブなジェスチャーが増え始めました。タイブレークでは勢いで勝る日本ペアがポーランドを寄り切った印象です。

⇧クボトのサービスゲーム。第4ゲームはいい形でキープしたのですが、第8ゲームでブレークを許します。

⇧流れを掌握できず明らかにイライラしだしたジエリンスキ。サーブの判定を巡って審判に詰め寄る一幕も。

⇧試合終了

⇧敗れたジエリンスキは主審と握手した後、ポーランド陣営ではなくまず日本陣営と握手を交わしていました。

 

繰り返しになりますが綿貫が本当に良く頑張ったと思います。慶應チャレンジャーのときも書きましたが、やはり非常に前向きな人なのだと思います。この試合の勝利は彼のメンタリティがもたらしたものだと言って過言ではないでしょう。シンプルにダブルスランキングで言えば内田海智や上杉海斗を起用するという手もあった中で、綿貫を選んだ添田新監督の采配にも拍手を送りたいと思います。

doublesgeek.hatenablog.com

hochi.news

tennis.jp

マクラクランにとっては2018年のボスニアヘルツェゴビナ戦で勝利して以来、5試合続いていたデビスカップでの連敗についに終止符を打つことができました。綿貫とは今大会を通じて非常に良いパートナーシップを築けたようなので、このままデ杯で組み続けて欲しいと思います。

⇧チームと喜びを分かち合う綿貫とマクラクラン

 

ただ、正直なことを言うと私自身はこの試合に関してはポーランドの方を応援していました。というのも実はクボトが観たくて現地まで足を運んだからです。40歳の彼のプレーを生で観られるのは恐らくこれが最初で最後になるでしょう。そのクボトはタッチ系のショットでは抜群の巧さを発揮しましたが、サーブの制球には少し苦しんでいたような気もしました。↓の記事ではマクラクランも“最後の方は相手(クボット)がぜんぜん方向(コース)チェンジしなかったのでアジャストできた”と述べています。

thedigestweb.com

⇧消化試合となった内田海智の試合後、クボトは一人日本陣営にやって来て添田をはじめとした日本の選手、スタッフと握手を交わしていました。

 

ジエリンスキは流石に4人の中で一番ランキングが高いだけあって技術的には一番巧かったと思います。ただ、前述の通り第3セットでクボトのサーブをブレークバックされて以降、精神的に彼が崩れてしまったのはダブルスとしてはいただけなかったと思います。彼のプレー自体はそれまで良かっただけに、もう少し冷静さを維持できていればこの試合の結果はまた違ったかもしれません。

 

試合後の記者会見ではクボトもジエリンスキも日本チームを称えるコメントをしてくれたようです。

news.tennis365.net

 

~おまけ~

⇧初めて訪れたブルボン ビーンズドームの外観です。本当にこの建物以外何にも無いとろこでビックリしました(笑)