ダブルスファンの雑記

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2022年 慶應チャレンジャー 観戦記②

2022年11月4日 シングルス準々決勝、ダブルス準決勝

C.オコンネル 6-7(5) 7-6(4) 6-4  T.ウー

⇧オコンネル(手前)とウー

 

ミルマンの試合が組まれていたこの日、会場にいた人の多くがミルマン目的だったと思うのですが、なんとまさかのミルマンの棄権が発表されました。必然的にこの試合を観るしかなくなってしまったのですが、試合内容は素晴らしいものでした。

 

第1シードのオコンネルは尊敬する選手にガウディオを挙げる28歳。ガウディオと同じウイルソンのラケットを使用しており、バックハンドはもちろん片手打ちです。この試合はオコンネルのバックハンドのスライスが一つのポイントになっていたと思います。オコンネルはディフェンスの際にはバックハンドのスライスを使うことが多いのですが、対戦相手のウーはローボールヒッターのようで、このスライスに対してさらに強打していくという展開を多用していました。オコンネルとしては守りの要であるスライスからさらに攻撃をされてしまうのでラリー戦は非常に苦しい展開が続きました。

 

第1セットを落とし、第2セットではウーにマッチポイント迫られる大ピンチを迎えますが、どうにかここを凌ぐとファイナルセットではオコンネルのスライスに対するウーの強打がネットにかかる場面が目立つようになり、オコンネルとしては少しラリー戦が楽になった印象を受けました。

 

余談ですが、この試合の主審はグランドスラムでも審判をされていた太田衣香さんが務めていました。慶應チャレンジャーは学生がボールパーソンを務めている大会ですが、太田さんはボールパーソンの交代のときに労いの意をこめて親指を立てるジェスチャーをしており、細かい配慮をなさっているのが伺えました。

www.jta-tennis.or.jp

⇧試合終了後、オコンネルはお客さんに向けてお辞儀をしていました

 

島袋将 6-4 6-1 D.ジムホール

過去最高23位を記録したジムホールに島袋が挑むカードでしたが、予想に反して島袋の圧勝でした。サーブもストロークも素晴らしい精度でジムホールに全くチャンスを与えませんでした。

 

ジムホールは前日の試合もそうだったようですが、とにかく審判に対するクレームが多かったです。主導権が取れないのでフラストレーションが溜まっていたというのもあると思いますが、判定に対する抗議をしている間はタイムバイオレーションの対象にならないので、島袋にテンポ良くプレーをさせないように間を取るための確信犯的行動でもあったように思います(どっちにしたってあんまり褒められたものではないですが)。

⇧判定にクレームをつけるジムホール

V.コーネア / R.ゴンサレス 7-6(5) 7-6(2)  市川泰誠 / 望月勇希

この試合の直前にもう一つの準決勝で試合をするはずだったフェレイラ シルバ / コラール組が棄権したため(フェレイル シルバの右足の故障らしいです)、日本の藤原智也/今村昌倫の決勝進出が決まりました。もしこの試合に市川 / 望月が勝てばオールジャパニーズファイナルとなります。

 

対するコーネアとゴンサレスのペアは共にダブルスを中心にプレーしている選手ですが、ペアを組むのは今大会が初めてのようです。この試合に関してはコーネアのプレーがあまり良くありませんでした。リターンのタイミングは合ってないし、ボレーのミスも多いしでなかなか勢いに乗れません。そのコーネアを37歳のベテランであるゴンサレスは終始懸命に引っ張っていました。

 

試合の流れとしては第1セットはコーネア / ゴンサレスが先にブレークし、第10ゲームでコーネアのサービング・フォー・ザ・セットを迎えますが、ここでブレークバックを許します。しかしその後のタイブレークでは再びコーネア / ゴンサレスがブレークで先行し、リードを守ってこのセットを取りました。

 

第2セットは日本ペアに大きなチャンスが訪れます。第1ゲームのゴンサレスサービスゲームでコーネアの打ったアングルボレーに対し、市川が脅威的なリカバリを発揮してポイントを奪うと流れを掴んでブレークに成功。第3ゲームのコーネアのサービスゲームもブレークして2ブレークアップ3-0とリードを広げます。ここでコーネアがメディカルタイムアウトを要求し、試合は一時中断。再開後日本ペアがサーブをキープし4-0とします。

 

この時点では圧倒的に日本ペアが優勢だったわけですが、やはりゴンサレスは不気味な存在感を放っていました。メディカルタイムアウトでの中断中も主審と談笑する余裕がありましたし、ポイント間も「Como on!」「Vamos!」と掛け声をかけ続けてとにかくテンションが落ちないようにするメンタル面でのマネージメントをしていたように思いました。その甲斐あってか分かりませんが、なんとコーネル / ゴンサレスはここから5ゲーム連取で逆転します。日本ペアもどうにか踏み止まってタイブレークに持ち込みますが、タイブレークでは経験にも自力にも勝るコーネル / ゴンサレスに寄り切られてしまいました。試合終了後、ゴンサレスは一人コートに残り入念なストレッチを行っていました。37歳にして活躍を続けるベテランらしいところが随所に出ていたように思います。