ダブルスファンの雑記

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2022年 楽天ジャパンオープン 観戦記⑧

2022年10月2日 シングルス予選決勝

ラムクマール・ラマナザン 5-7 6-4 6-1 エリアス・イメール

⇧選手入場を待つショーコート。日陰の席には多少人がいたのですが、それ以外の席はガラガラでした。この日は気温が高かったですし、同じタイミングでセンターコートで守屋vs島袋のカードが始まってしまったのもあったのだろうと思います。

コイントス。ラマナザン(左)とイメール

 

スウェーデンのイメールは兄弟でテニス選手をしていて、エリアスの方は兄にあたります。先のデビスカップ日本vsスウェーデン戦は彼の無双状態で、一人で単複3勝してスウェーデンを勝利に導いたのは記憶に新しいところです。この試合時点でのランキングは124位。

 

対するラマナザンはダブルスで実績のある選手で、この時点でのダブルスランキングは66位。今大会に関してはダブルスは本戦ストレートインが決まっています(パートナーはオーストラリアのポプリン)。シングルスのランキングは299位で、これはインド国内では1位になります。キャリアを調べてみると15歳でインドを離れてスペインのサンチェス カサルアカデミー入っています。ATPの彼のプロフィールのコーチの欄には現在もエミリオ・サンチェス(アランチャ・サンチェスの兄)の名前があります。

 

しかし、スペイン育ちの一方でインドのダブルス選手だけあって、プレースタイルは典型的なサーブ&ボレーヤーでした。最初のサービスゲーム(第2ゲーム)こそセカンドサーブではステイバックしていましたが、それ以降のゲームではセカンドサーブでもサーブ&ボレーでした。ただ、残念なことにリターンがほぼ全てブロックリターンでいわゆるチップ&チャージも無いため、リターンではイメールに全然プレッシャーをかけられていなかったと思います。

⇧サービスダッシュするラマナザ

⇧リターンはフォアもバックもほぼスライスのブロックリターンでした。

⇧ポイント間に必ずベースラインとシングルスサイドラインの交点をラケットで触る独特のルーティンがあります。

試合の流れとしては第1セット第12ゲームでラマナザンはイメールにブレークを許し、5-7でこのセットを落とします。このまま一気にイメールに流れがいくかと思われましたが、第2セットの第1ゲームで割とイージーなエラーがイメールに続き、ラマナザンがこの試合で初めてのブレークに成功します。ラマナザンのサービスゲームはこの後も苦しい場面が続くのですが、どうにか切り抜けてラマナザンはワンブレークを守り切って6-4でセカンドセットを奪い返します。

⇧イメールのリターン

⇧第2セットのセットポイントでのラマナザンのボレー。まさにこのショットでラマナザンは第2セットを取り返します。

 

第3セットは第3ゲームで、ラマナザンはハーフボレーでのロブボレーという超高難度のショットを決めてチャンスを作ります。最後はそれまで恐らく一本も無かったバックのダウンザラインの強打でブレークに成功。その後は勢いを増したラマナザンと調子を落としたイメールとの差が顕著になっていき、結局第3ゲーム以降イメールに1ゲームも与えることなく第3セットを取り切りました。

⇧第3セット第3ゲーム。二人ともネットについたときにラマナザンはハーフボレーでのロブボレーという難度の高いショットでイメールの頭上を抜きます。イメールはなんとかこれを返球しますが、そのボールをラマナザンはスマッシュで仕留めました。写真はその後のラマナザンのガッツポーズです。

⇧ラマナザンの回り込みフォアハンド。ストロークは球威があるわけではなさそうですが、安定はしていました。

⇧両手打ちバックハンドのラマナザンですが、リターンは何故か片手スライスでのブロックリターンを多用していました。リターンゲームでリターンダッシュせずにストローク戦をすることが多いのはスペイン育ちの影響なのかもしれません。

⇧勝利した直後のラマナザン。天を見上げて何か言っていました。

⇧試合終了

⇧お客さんの拍手に応えるラマナザン

 

予選を突破したラマナザンですが、残念ながら本戦1回戦で日本の野口理央に敗退。ダブルスでも1回戦でエブデン / パーセルに敗れてしまい、初の楽天オープンは単複とも1回戦敗退となりました。

 

珍しいサーブ&ボレーと柔和な微笑みが印象的な選手でした。強いか?と問われると難しいところなのですが、珍しいプレーススタイルなので間違いなく観ておもしろい選手です。今後も単複両方での活躍に期待したいと思います。