ダブルスファンの雑記

プロテニスの主にダブルスについて書くブログです

2022年 東レ パン パシフィックオープン 観戦記⑧

2022年9月21日

F.コントレラス=ゴメス / D.パパミハイル 6-1 6-3 本玉真唯 / 内藤祐希

 

コントラレス=ゴメスとパパミハイルはいずれもシングルスの予選に出場していた選手。二人とも予選を勝ち抜き、本戦1回戦でも勝利しています。特に予選でのコントラレス=ゴメスのプレーにはすっかり魅せられてファンになってしまいました。

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本来であればコントレラス=ゴメス / パパミハイルの相手はハダット=マイア / ジャンのペアだったはずなのですが、直前になってこのペアが棄権しました。ジャンはこの日の午前中にガルシアとシングルスの試合をしており、この試合が2時間半に及ぶ死闘ととなってしまったためその疲労回復を優先したものと思われます。

 

そのペアに代わって繰り上がりで出場権を得たのが本玉真唯 / 内藤祐希のペア。これは後で調べて分かったのですが、コントレラス=ゴメスと内藤祐希は今年に入ってシングルスで1回、ダブルスで2回対戦があります。シングルスでは内藤が勝利しており、ダブルスでは1勝1敗という結果でした。また、パパミハイルと本玉は今年のUSオープンの予選で当たっており、そのときには本玉が勝利しています。こうしてみると過去の戦績では日本ペアの方が優位だった試合と言っていいと思います。

16時40分頃にコントレラス=ゴメスとパパミハイルがショーコートに練習にやってきます。この時点では奈良と土居が練習をしており、写真のコントレラス=ゴメスは奈良にコートをシェアさせてくれないかと頼んでいます。奈良は私の聞き間違えでなければ”We'll finish in minutes(私たちはあと数分で終わります)."と答えていました。

ベンチに戻った土居、奈良と入れ替わりに、コントレラス=ゴメスとパパミハイルがショートラリーを始めます。

その10分後ぐらいに今度は本玉、内藤ペアが登場。ごく短時間ですが4選手がコートをシェアして練習。

コントレラス=ゴメスとパパミハイルは先に練習を終えベンチで待機。日本ペアが一面使ってポーチの練習をしています。この時点で試合開始5分前。この流れのまま試合が始まったのでこの試合にはいわゆるウォークオンがありませんでした。

コイントス。コントレラス=ゴメスはチャレンジシステムが使えるかどうか確認していました。ちなみにショーコートではチャレンジは使えません。

急な出場選手の変更に修正の間に合わなかった電光掲示板。ウォームアップが終わるころには修正されていたと思います。

すっかりコントレラス=ゴメスファンになっていた私の贔屓目もあるのかもしれませんが、この4人の中では頭一つ抜けてコントレラス=ゴメスは良いプレーをしていたと思います。ミスが最も少なくかつショットのクオリティは一番高かったのではないでしょうか。

試合はトスに勝った日本ペアがサーブを選択し内藤のサーブで開始しますが、コントラレス=ゴメス / パパミハイルがいきなりここをブレークします。さらに第3ゲームの本玉のサーブもコントラレス=ゴメス組がブレークしてさらに2ブレークアップのリードとなります。結局コントラレス=ゴメス組は第6ゲームの本玉のサーブもさらにブレークして、3ブレーク差をつけ6-1でこのセットを取ります。

内藤のサーブで試合開始
ロブリターンを放ち2人でネットに詰めるコントラレス=ゴメスとパパミハイル

第2ゲームはコントラレス=ゴメスのサーブ。ファーストサーブが入ったときはサーブ&ボレーをすることが多かったです。

第3ゲームの内藤のサーブではこの試合で最初のディサイディングポイントが訪れました。リターンはパパミハイルです。

第3ゲームをブレークしたコントラレス=ゴメスとパパミハイル

わずか24分で終わった第1セット。日本ペアはファーストサーブが入っても31%しかポイントが取れませんでした。

セット間でバスルームブレークを取った日本ペア。気持ちを切り替えて第2セットに臨みます。

第2セットはコントラレス=ゴメスのリターンから突き玉が日本ペアを苦しめました。途中から日本ペアはコントラレス=ゴメスにセカンドサーブを打つときは前衛を下げるという作戦を取ります。これには一定の効果があったらしく、4-3までは両ペアともサービスキープが続きます。しかし、第8ゲームの本玉のサーブを落としてしまい、4人の中で最もサーブの良いコントレラス=ゴメスのサービング・フォー・ザ・マッチを迎えてしまいます。コントレラス=ゴメスはここをキープして試合終了となりました。

コントラレス=ゴメスのフォアに甘いセカンドサーブが入ると強烈な突き玉が返ってきます。彼女は片手打ちバックハンドなのでバック側に高く弾むキックサーブを打てると攻撃を防げたのかもしれませんが、日本ペアのサーブはスライス系なのでそれは難しかったのでしょう。

コントラレス=ゴメスの突き玉にのけぞる内藤

日本ペアは途中からコントラレス=ゴメスにセカンドサーブがいくときには前衛を下げる作戦に変更します。写真は本玉のサービスゲームですが、内藤のサービスゲームでも同じことをしていました。これによりコントラレス=ゴメスは突き玉を打つという選択肢が無くなったので確かに少しやりにくそうではありました。

第8ゲーム、本玉のサーブでディサイディングポイントを迎えます。ここではさすがにコントラレス=ゴメスがリターンを打ちました。このポイントを取ってコントラレス=ゴメス組がサービング・フォー・ザ・マッチへと向かいます。

勝利した瞬間のコントラレス=ゴメスとパパミハイル

握手

主審と握手をした後、通例勝ったペアはお客さんに手を振るものなのですが、この二人は忘れてたのか慣れてなかったのか一瞬そのままベンチに戻りそうになります。ベンチ側にいるお客さんが拍手をしてくれているのを見て思い出したらしく、会場に向かって手を振ってくれました。

退場するコントラレス=ゴメスとパパミハイル

試合時間は1時間2分。スコアも内容もコントラレス=ゴメス / パパミハイルの圧勝と言っていいと思います。急遽出場した日本ペアとしては、前述の通り今年の戦績的には勝てない相手では無かっただけにチャンスを活かせず残念でした。パパミハイルがあまりボレーが上手い選手ではなかったので、もっと前衛の彼女に強い突き玉を浴びせられると良かったのですが、コントラレス=ゴメスのサーブとストローク力がそれを許さなかったのでしょう。

 

勝ったコントラレス=ゴメス / パパミハイルのペアは準々決勝で第1シードのクデルメトバ / メルテンスのペアに挑みましたが0-6 3-6のスコアで完敗。ベスト4進出とはなりませんでした。それでも今大会の初戦を突破したことは普段WTAツアー500で戦う機会のない二人にとっては非常に大きく、9月26日付けのダブルスランキングでコントラレス=ゴメスは115位前後、パパミハイルは150位前後までランキングを上げる見込みです。いずれも二人にとってはキャリアハイとなるランキングとなるでしょう。

 

特にコントラレス=ゴメスはリストが強いのでボレーが上手いです。サービスダッシュもリターンダッシュも上手くダブルスプレーヤーとしてのセンスは非常に高いと思います。恐らく来季の序盤~中盤あたりにはトップ100に入ってくるのではないかと思います。楽しみな選手がまた一人増えました。