2022年 東レパンパシフィックオープン 観戦記③
2022年9月18日 シングルス予選決勝
雨になったこの日、有明コロシアムはインドア使用となります。インドアになると空調が効いていて涼しく(人によってはちょっと肌寒いくらいだったかも)観戦には大変快適でした。しかし、雨のためショーコートの試合は観客席の無いインドアコートに変更になってしまい、この日観ることが出来たのはセンターコートの試合のみでした。
ギリシャのパパミハイルも日本の坂詰も私は初めて観る選手でした。両者ともフラット系のショットでタイミングの早いテニスを持ち味としていて、非常にラリーのテンポが早い試合でした。
第1セットは坂詰が2ブレークを許す形になり6-2でパパミハイルが取りました。正直、ストローク戦にそこまでの差は無かったと思うのですが、スタッツを改めて確認すると坂詰は73.9%ファーストサーブが入っているにも関わらず、ファーストサーブが入った時のポイント取得率はわずか47.1%しか取れておらす、ここが明暗を分けたように思います。
第2セットは坂詰のサービスゲームからスタートしますが、第1、3ゲームを続けてブレークされてしまいいきなり2ブレークダウンと差が開きます。このまま一方的な展開になるかと思われましたが、なんと坂詰は第4ゲーム、第8ゲームとブレークに成功し4-4に追いつきます。ここから逆転できそうな気配も漂っていたのですが、直後の第9ゲームを再びブレークされ、迎えたパパミハイルのサービング・フォー・ザ・マッチをキープされ、第2セット6-4で試合終了となりました。
セカンドセットのスタッツを確認すると坂詰のファーストサーブが入ったときのポイント率は52.2%まで改善していました。また、相手のファーストサーブをリターンした時のポイント取得率も47.6%取れていて(第1セットは23.6%しかなかった)、サーブ、リターンのいずれもファーストセットより良くなっていたと言えます。
ただ印象としては、坂詰のテニスはパパミハイルにとってやりにくいテニスではなかったのではないかと感じました。坂詰のテニスは非常に正攻法の綺麗なテニスです。フラット系のタイミングの早いショットでコートを広く使って相手を揺さぶるのが持ち味です。しかし、その土俵で戦ってしまうとどうしてもリーチのあるパパミハイルの方が有利になってしまい、その優位性が動かないまま試合が終わってしまったようにも思いました。もっと緩急をつけたり、センターにボールを集めたりして相手のミスを誘うようないわゆる”やらしさ”があったらまた違う結果だったような気もするのですが、それは坂詰のやりたいテニスではないのかもしれません。
勝ったパパミハイルは本戦初戦で同じく予選上がりのXiaodi Youと対戦します。また、同じくシングルスの予選を勝ち抜いたコントレラス=ゴメスとのペアでダブルスにも出場し、1回戦でアダット=マイア / ジャンのペアと対戦になります。