ダブルスファンの雑記

プロテニスの主にダブルスについて書くブログです

2022年 東レパンパシフィックオープン 観戦記③

2022年9月18日 シングルス予選決勝

デスピナ・パパミハイル 6-2 6-4 坂詰姫野

 

雨になったこの日、有明コロシアムはインドア使用となります。インドアになると空調が効いていて涼しく(人によってはちょっと肌寒いくらいだったかも)観戦には大変快適でした。しかし、雨のためショーコートの試合は観客席の無いインドアコートに変更になってしまい、この日観ることが出来たのはセンターコートの試合のみでした。

 

ギリシャのパパミハイルも日本の坂詰も私は初めて観る選手でした。両者ともフラット系のショットでタイミングの早いテニスを持ち味としていて、非常にラリーのテンポが早い試合でした。

ギリシャのパパミハイルは長身で手足の長い選手。女子では珍しい左手を伸ばした打ち方のバックハンドです。このショットは得意らしくわざとバックに回り込んで打つ場面も見られました。

長身から放たれるサーブは強烈です。ファーストサーブでは180km/hを超えるサーブを打っていました。

バックハンドを打つ坂詰姫野

坂詰は身体能力の高さを感じさせる選手でした。写真のように走らされてバランスを崩しながらでも、ショットのクオリティがあまり落ちない印象を受けました

第1セットは坂詰が2ブレークを許す形になり6-2でパパミハイルが取りました。正直、ストローク戦にそこまでの差は無かったと思うのですが、スタッツを改めて確認すると坂詰は73.9%ファーストサーブが入っているにも関わらず、ファーストサーブが入った時のポイント取得率はわずか47.1%しか取れておらす、ここが明暗を分けたように思います。

 

第2セットは坂詰のサービスゲームからスタートしますが、第1、3ゲームを続けてブレークされてしまいいきなり2ブレークダウンと差が開きます。このまま一方的な展開になるかと思われましたが、なんと坂詰は第4ゲーム、第8ゲームとブレークに成功し4-4に追いつきます。ここから逆転できそうな気配も漂っていたのですが、直後の第9ゲームを再びブレークされ、迎えたパパミハイルのサービング・フォー・ザ・マッチをキープされ、第2セット6-4で試合終了となりました。

第2セットは坂詰のサーブからスタート。セット間に黒のウェアに着替えてきました。

坂詰のセカンドサーブに対するリターン。ブレークを先行され苦しい展開でしたが、積極的にセカンドサーブに対してプレッシャーをかけていきます。

第4ゲームでひとつブレークを返し、ガッツポーズを作る坂詰

凄まじいラリー戦でしたが、坂詰は良く走りました

粘る坂詰を振り切ろうとパパミハイルも懸命に打ち込みました

試合終了

セカンドセットのスタッツを確認すると坂詰のファーストサーブが入ったときのポイント率は52.2%まで改善していました。また、相手のファーストサーブをリターンした時のポイント取得率も47.6%取れていて(第1セットは23.6%しかなかった)、サーブ、リターンのいずれもファーストセットより良くなっていたと言えます。

 

ただ印象としては、坂詰のテニスはパパミハイルにとってやりにくいテニスではなかったのではないかと感じました。坂詰のテニスは非常に正攻法の綺麗なテニスです。フラット系のタイミングの早いショットでコートを広く使って相手を揺さぶるのが持ち味です。しかし、その土俵で戦ってしまうとどうしてもリーチのあるパパミハイルの方が有利になってしまい、その優位性が動かないまま試合が終わってしまったようにも思いました。もっと緩急をつけたり、センターにボールを集めたりして相手のミスを誘うようないわゆる”やらしさ”があったらまた違う結果だったような気もするのですが、それは坂詰のやりたいテニスではないのかもしれません。

パパミハイルのオンコートインタビュー。マイクの高さが合っておらず自分で直しています。

サインボールの打ち込み

WTA500の本戦に出られるというのは、普段ITFのトーナメントを中心に回っている彼女にとっては大変な大きな出来事です。よほど嬉しかったのかジャージやタオルやリストバンドを次々とお客さんに投げていました。

退場するパパミハイル

勝ったパパミハイルは本戦初戦で同じく予選上がりのXiaodi Youと対戦します。また、同じくシングルスの予選を勝ち抜いたコントレラス=ゴメスとのペアでダブルスにも出場し、1回戦でアダット=マイア / ジャンのペアと対戦になります。