N.ジョコビッチ VS J.ミルマン
2019.10.8 楽天ジャパンオープン シングルス決勝
例年のことではありますが、今年の楽天ジャパンオープンも開幕前に欠場が相次ぎました。錦織、アンダーソン、ワウリンカ、ラオニッチといった選手の欠場が発表され、ネームバリューという点では少しさみしくなってしまった感はあります。
その中で今回最大の目玉だったジョコビッチも出場が危ないのではないかと噂されていました。全米オープンをまさかの途中棄権で終えて、↓のような記事まで出ていたほどです。正直、今回の楽天オープンは欠場だろうと思っていました。
それが蓋を開けてみればダブルスまで出場するし、失セットゼロで優勝するしで、直前の騒動はなんだったのかという感じです。これは私の邪推なのですが、全米オープンの棄権はこの楽天ジャパンオープンを万全な状態で迎えるためにしたことなのではないでしょうか。普通グランドスラムを犠牲にしてATP500の大会に備えることなどあり得ませんが、今回の楽天ジャパンオープンは来年のオリンピックと同じ会場であるという例年にない要素があります。オリンピックの金メダルを是が非でも取りたいジョコビッチにとっては、今年に関しては楽天ジャパンオープンはグランドスラムよりも優先される大会だったのかもしれません。いずれにしても強かったですし、大会としては目玉だった選手が活躍してくれて良かったのではないかと思います。
ただ私個人としては、この決勝戦はジョコビッチよりミルマンを応援していました。今大会のミルマンの1回戦を観戦し、そのグッドガイぶりにすっかり心をつかまれてしまっていたからです。これまで日本のチャレンジャーに何度も出てくれていた選手なのは知っていましたが、ジャパンオープンが初出場なのは知りませんでした。
WOWOWの解説の松岡修造が“ミルマンは頑張るマンだ”としきりに言っていましたが、この日のミルマンは“超頑張るマン”だったと思います。ツアー初タイトルがATP500レベルでかかっているのですから当然です。しかし、この試合に関してはジョコビッチとミルマンの実力差を痛感せざるを得ませんでした。終始ジョコビッチのペースでしたし、恐ろしいことにまだ2つぐらいギアを上げられる余裕があるのではないかと感じさせるプレーでした。
ただ、この試合で一番印象に残っのは試合後の鍋島アナのインタビューでの「来年は何回東京に来てくれますか。」という質問に対するジョコビッチの応えです。当然多くのファンが「2回」という解答が返ってくることを期待した質問でしたが、ジョコビッチは回数についても来年のジャパンオープンについても言及せず、ただオリンピックのことだけを語りました。表彰式のスピーチでもオリンピックのことについて述べるにとどめ、来年のジャパンオープンに出場することについてはついに一言も明言しませんでした。表彰式で来年の出場について語るというのはもうある種の様式美と化していて、本当に出場するか否かは別としてスピーチをする選手は明言するのが通例だと思うのですが、それさえ無かったということは恐らくジョコビッチには来年のジャパンオープンに出場する意向はないのでしょう。
それを考えるとこれまで何度も日本に来てくれて、恐らく今後もジャパンオープンに出てくれるだろうミルマンに勝って欲しかったというのが私の偽らざる本音なのですが…。ミルマンとしてはジャパンオープンも優勝したかったでしょうが、地元でのタイトルの方がもっと欲しいと思うので、来年のブリスベン国際あたりでタイトルを取れたらいいなと思います。
