ダブルスファンの雑記

プロテニスの主にダブルスについて書くブログです

オリンピック ダブルスの出場資格 ~気の毒なロジェ=バセラン~

今までこのブログでは同国同士の選手がダブルスを組むと割とすぐに「オリンピック」と結びつけていたのですが、それが結構恥ずかしい間違いだったことがわかりました。今回はそのことについて書きたいと思います。

 

今までオリンピックのダブルスは国内のランキング上位の選手が単純に出られるものだと思っていたのですが、調べてみると実はいろいろと縛りがあることを知りました。以下はITFのサイトと↓のサイトで調べた内容です。

tokyo2020watcher.jp

 

オリンピックのダブルスのドローサイズは32で、このうち31組は本戦ダイレクトイン、1組は開催国枠です。出場できるのは各国2ペアを上限にランキング上位のペアなのですが、ここにひとつ縛りがあって2016年~2020年(要するにリオ五輪以降で)3回以上のデビスカップの出場が必要なのです(ワールドグループに入っていなければ2回以上で良い)。

 

この縛りはシングルスの選手と同じなのですが、ダブルス専門の選手にとっては厳しい条件です。というのもデ杯のフォーマットはシングルスが最大4試合に対し、ダブルスは1試合だけですから、ダブルス専門の選手にとっては出場の機会を得ること自体が難しいのです。

 

この縛りの影響を受けるダブルスのスペシャリストは少なくありません。一番わかりやすく影響を受けているのはフランスのロジェ=バセランでしょう。彼の国内でのダブルスランキングは3位(9月9日付)。今年のウインブルドンで準優勝、過去には全仏オープンで優勝するなど実績は十分なのですが、彼はデ杯には出場したことがありません。なぜならフランス国内ランキング1位,2位のマウとエルベールが、1試合しかないデ杯のダブルスの枠をほぼ毎回押さえてしまうので、ロジェ=バセランまで回ってこないのです。デ杯の出場がない以上、ロジェ=バセランには東京オリンピックの出場資格はありません。(↓はマウのインスタから今年のウインブルドンの写真です。右がロジェ=バセラン。)

www.instagram.com

 

イギリスも大変なことになっています。イギリスは現在のランキング(9月9日付)でトップ100に7名のダブルス選手がいるダブルス大国ですが、この7名のうちデ杯の出場があるのはジェイミー・マレーイングロットの2人だけです。

 

ダブルスの選手はあまり怪我をしないですし、デ杯をスキップする傾向も少ないので、出場するメンバーがシングルスより固定的なのだと思います。その結果、オリンピックの出場資格である「デ杯の3回の出場」というのを満たせない選手が結構います。

 

また、これはシングルスもそうですが、強くなったのが最近という選手もこの煽りを受けます。先ほどイギリスの話を出しましたが、ランキングではジェイミー・マレーに次いで国内2番手のソールズベリーは、台頭してきたのが昨年の末からなのでデ杯に召集される機会が無く、今回の東京オリンピックには出場できません。

 

もっと典型的なのはドイツのクラウィーツ / ミースのペアでしょう。今年の全仏オープンをノーシードから制して一気に出世したペアですが、この二人もそれまでは実績がほとんどないのでデ杯に召集されたことがなく、東京オリンピックには出場できません。

 

これまでの記事で同国の選手同士がペアを組むとすぐにオリンピックと結びつけていましたが、恥ずかしい間違いでした。 これからはデ杯の出場回数をちゃんと調べたいと思います。

 

~追記~

実は上記の内容にさらに間違いがあったことがわかりました。訂正版の記事を投稿してますので良ければ読んでいただければと思います。
doublesgeek.hatenablog.com