ダブルスファンの雑記

プロテニスの主にダブルスについて書くブログです

2022年 東レパンパシフィックオープン 観戦記②

2022年9月17日 シングルス予選1回戦

フェルナンダ・コントレラス=ゴメス 6-3 6-7(3) 6-1 華谷和生

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2022年 東レ パン パシフィックオープン 観戦記①

2022年9月17日 シングルス予選1回戦

奈良くるみ 6-0 6-3 二コラ・メリカ=マルティネス

奈良くるみ
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ジョコビッチとエルリック、12年ぶりのダブルス

9月26日からイスラエルで開幕するTel Aviv Watergen Openのダブルスのエントリーリストにジョコビッチ / エルリックの名前があります。まだ補欠リストにあるだけでメインドローには入れていませんが、このペアならほぼ間違いなくワイルドカードが出るでしょう。

 

この二人は過去に2大会でダブルスを組んだことがあります。いずれも2010年のことで一つはイギリスのエイゴン選手権、もう一つが中国のマスターズ1000上海です。二人が組むのは上海以来なので、約12年ぶりの再結成ということになります。

 

前述のエイゴン選手権ではこのペアで優勝していて、これは現時点でジョコビッチが唯一ATPツアーで獲得したダブルスのタイトルであり、ジョコビッチが単複通じて初めてグラスコートで獲得したタイトルでもあります。

novakdjokovic.com

 

ジョコビッチと組むこのエルリックという選手は度々このブログでも名前を出しているのですが、イスラエルの45歳の現役選手です。ダブルス専門の選手で2008年の全豪オープン男子ダブルスでタイトルを獲得しています。最高位は5位。現在もイスラエル国内であればダブルスのトップランカーで、現在行われているイスラエル vs チェコの試合も監督兼任で代表選手を務めています。

 

エルリックの凄いところは単に続けているだけではなくずっとツアーレベルでのプレーをキープし続けてきたというところにあります。昨年もツアータイトルを獲得していて、年末のランキングは63位でした。しかし、今年に入ってさすがに衰えが出てきたのか、5月に入ってトップ100から陥落。そのままずるずるとランキングが落ち続け現在は202位まで落ちています。今年のマッチ戦績も4勝13敗と大きく負け越しています。恐らくですがこの地元の大会でジョコビッチと組んでの出場が引退試合なのではないかと思います。

 

~追記~

やはりエルリックはこの大会をもって引退のようです。

tennisuptodate.com

 

コリアオープン ダブルス出場選手発表

今年から新設されたコリアオープンのダブルスのエントリーリストが公開されました。コリアオープンは楽天ジャパンオープンの前週に開催される大会です。今年のATPのツアースケジュールと開催地から考えるとコリアオープンにエントリーしている選手≒楽天ジャパンオープンにエントリーする選手でほぼ間違いないため、今年誰がコリアオープンでプレーするのかは極めて重要な情報になります。

www.dartsrankings.com

 

結論から言えば…このメンバーがそのままジャパンオープンもプレーするとなると例年よりかなり地味目なジャパンオープンのダブルスになりそうです(笑)

 

エントリーリストのトップはオーストラリアのエブデン / ピアースのペア。調べた限りこのペアで組んだことは今までないようです。エブデンは普段はパーセルとペアを組んでいますが、パーセル楽天ジャパンオープンのシングルスの予選に出られる目途が立ち、その前週のコリアオープンは予選と日程が重なるので出られなくなりました。そのためコリアオープンに限ってピアースと組むのだと思います。

 

一方のピアースはずっち組んでいたポラセクがウインブルドン以降(恐らくケガかなにかで)試合に出ていないので、このところは大会ごとに別の選手と組んでいます。ピアースにとってもエブデンとダブルスが組めるのは渡りに船だったのではないでしょうか。ソウルまで来てジャパンオープンに出ないとは考えにくいので、ジャパンオープンではまた別の選手とペアを組んで出場するのだと思います。恐らくマスターズ1000カナダで一緒に組んでいたエバンスとのペアで出るのではないでしょうか。

 

その他のペアだとベルギーのデ杯代表ペアであるジレ / ブリーゲン東京五輪のブラジル代表としてプレーしたデモリネル / メロあたりがいいペアですね。ただそれ以外のペアはランキング的には割とチャレンジャーが主戦場のペアが多く、このままだとATP500規模の大会としてはちょっと寂しい大会になりそうなので、もうちょっと上位勢が集まってくれると嬉しいです。

さようなら、ロジャー・フェデラー

テニス界のレジェンド、フェデラーが引退を表明しました。

 
 
 
 
 
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正直、多くの人が覚悟をしていたことではあったと思います(↓のバモスわたなべさんのツイートがめっちゃファン心理を語ってたので貼っておきます)。

 

フェデラーが最後にツアーでプレーした昨年のウインブルドンの準々決勝、ホルカシュとの試合は誰もがフェデラーの限界を感じた試合だったと思います。もう身体が思うように動かず、トレードマークだった流れるような動きの美しさはそこにはありませんでした。一つの試合に勝つことはできても、一つの大会を勝ち切る力は残っていないことは明らかでした。(↓はその試合を観終えた後の鈴木貴男のコメント動画です。)


www.youtube.com

 

引退するのであれば、ウインブルドンか地元のバーゼルを選ぶのではないかと思っていたのでレーバーカップを選んだのは少し意外でしたが、身体のコンディションに合わせて出場する試合数を調整できるレーバーカップは、今のフェデラーが良い状態でのプレーをファンに披露するには合っている大会なのかもしれません。同じ時代を築いたBIG4の4人と同じチームで戦うというのも感慨深いものがあります。個人的にはやはりナダルとのダブルスが観たいですね。正直、最後の試合はシングルスではなくナダルとのダブルスでも良いような気がします。

 

個人的にフェデラーの試合で最も印象に残っているのは2017年の全豪オープンの決勝の対ナダル戦でした。それまでフェデラーはとにかくナダルのフォアでバックを突かれると攻め手が止まってしまうというのが顕著で、正直もうナダルに勝つことはないのではないかと思っていました。ところがこの全豪ではそのナダルのフォアをバックハンドで綺麗に叩き返せるようになっていて、ストローク戦でナダルに主導権を渡さないフェデラーの姿がありました。当時のフェデラーは36歳。この年になって現役を続けているだけでも十分凄いのに、さらに進化を遂げ続けるフェデラーの凄さに感動したのは私だけではなかったと思います。

 

ナダルとはその全豪の後も対戦があり、結果的には通算40度の対戦がありました。戦績はフェデラーからみて16勝24敗と負け越しでしたが、最後となった2019年のウインブルドンではフェデラーが勝利しています。

www.atptour.com

doublesgeek.hatenablog.com

 

2018年のオープンでは現地で対西岡との試合を観戦する機会に恵まれました。もうこの試合はフェデラーがとにかく前にポジションと取り続けてひたすら強かった印象でした。

tblo.tennis365.net

 

せっかくダブルスメインのブログなので、ほかのメディアがあまり報じないであろうフェデラーのダブルスの話を最後にしたいと思います。実はフェデラーはダブルスでもキャリア最高で24位を記録しています。通算8度のツアー優勝もあり、この内3つは現錦織のコーチであるマックス・ミルニーとのペアで獲得しました。他には同世代でライバルだったサフィンとのペアでの優勝もあります。フェデラーが最後に獲得したダブルスのタイトルは、彼のキャリアを通じて最大のタイトルの一つでもある2008年の北京五輪でのワウリンカとのダブルスでの金メダルです。キャリアの終盤はほとんどデ杯とレーバーカップでしかダブルスはプレーしていません。彼が最後にツアーでダブルスを戦ったのは2015年のインディアンウェルズの1回戦で同じスイスのラマーとのペアでプレーし、マトコウスキ / ジモニッチのペアにフルセットで敗れています。パートナーのラマーはフェデラーの一つ年下の選手で、この試合が彼のキャリアラストマッチでした。

 

正直、フェデラーほどの技術のある選手ならダブルスだけならやっていけそうな気がします。アンディ・マレーあたりと組んでダブルスでもキャリアグランドスラムを目指して…みたいなことやってくれたら嬉しいですが、まあやらないでしょうね(笑)。

 

今年テニス界は男子でフェデラー、女子でセレナ・ウイリアムズというレジェンド二人が揃って引退を表明したことになります。ひとつの時代が終わったということなのでしょう。テニスファンからすると大変喪失感のある1年になりました。

2018年のUSオープンのフェデラー

2022年 東レパンパシフィックオープン ダブルス出場選手

今年の東レパンパシフィックオープンのダブルス出場選手が発表されました。

www.dartsrankings.com

 

このブログは主にATPを中心に書いています。というのも私自身がWTAの選手にあまり詳しくないからです。ただこれを機にWTAにも詳しくなりたいので、今回は私自身の勉強を兼ねて、今年の東レに出場する選手の紹介記事を書いてみたいと思います。

 

 

共にシングルスでもダブルスでも活躍している選手です。メルテンスはベルギーの選手で、彼女のコーチはベルギーの男子選手ゴファンの兄が務めています。全仏オープン以外のすべてのグランドスラムの女子ダブルスのタイトルを獲得している超実力者。もちろん過去最高位は1位です。そのメルテンスが昨年のウインブルドンの女子ダブルス決勝で破ったのが現在のパートナーであるロシアのクデルメトバ。彼女はグランドスラムタイトルこそありませんが過去最高位は2位までいった選手です。ともにストロークもボレーも上手なオールラウンダーでどんな陣形でも戦えるのがこのペアの強みでしょう。リターンはクデルメトバがデュースサイド、メルテンスがアドサイドを担当します。唯一の気がかりは先のオープンは恐らくメルテンスに不調が起きて2回戦で棄権しているということです。回復が間にあうと良いのですが…。

共にダブルス専門の選手で現在のレースランキングでは1位のペアです。メキシコのオルモスがデュースサイド、カナダのダブロウスキがアドサイドのリターンを担当します。

今年3月から組んでいるペアでUSオープンでベスト8に入っています。オランダのシュースはボーイッシュな短髪がトレードマークの選手。フォームも男性的でコンパクトな腕っぷしの強さを感じる打ち方をします。アメリカのクラウチェクは左利きの選手でスピン量の多いフォアとフラット系で速い両手バックが特徴の選手。リターンはクラウチェクがデュースサイド、シュースがアドサイドを担当します。

ブラジルのアダット=マイアはこれまで完全にシングルスの選手でしたが、今年の全豪の女子ダブルスで準優勝したことで今年はかなりダブルスもプレーするようになりました。ペアを組む中国のジャンも単複でプレーしている選手で、現在のダブルスランキングで5位に入っている実力者です。この二人が過去にペアを組んだのは一度だけで、今年のノッティンガムの大会で組んでいるのですが、そこでは優勝しています。リターンは左利きのアダット=マイアがデュースサイド、ジャンがアドサイドを担当します。

中国のペアです。このペアで昨年の東京五輪もプレーしています。今年はインディアンウェルズでの優勝、全仏オープンでベスト8という結果を残しています。左利きのシューがデュースサイド、右利きのヤンがアドサイドでリターンをします。ヤンが後ろで作って、シューがネットで決めるという形を得意としています。

今年の5月から組み始めたペア。ウインブルドンでベスト8、USオープンでベスト4に入っています。アメリカのメリカ=マルティネスはがっしりした体格の選手で非常にパワーのあるフォアハンドを持っています。その一方でネットプレーのタッチもいい選手です。オーストラリアのペレスは左利きの選手で、メリカ=マルティネスほどのパワーはありませんが、どんなショットもそつなくこなせるオールラウンダーです。リターンはメリカ=マルティネスがデュースサイド、ペレスがアドサイドを担当します。

チャンは台湾の選手。姉もテニス選手で今大会には姉妹でエントリーしています。日本の青山とは今季継続的に組んでおりウインブルドンでベスト8に入っていますが、今大会をもって解散とのこと。青山がデュースサイド、チャンがアドサイドのリターンを担当します。

今季から本格的に組んでいるペアで、共にダブルス専門の選手です。チームとしての優勝はまだありませんが、ウインブルドンでベスト8に入っています。ポーランドのロソルスカは166cmと小柄ですがネットプレーを得意としています。ロートリッフェは188cmと長身で強烈なストロークが持ち味です。従ってロソルスカが前衛でロートリッフェが後衛という布陣を得意としています。リターンはロートリッフェがデュースサイド、ロソルスカがアドサイドを担当します。

言わずと知れた日本のコンビです。今季から本格的に組み始めてすでに4大会で優勝しているのですが、大きな大会ではあと一つ結果を残せていないので、その意味でも今大会で活躍してほしいペアです。リターンは二宮がデュースサイド、穂積がアドサイドを担当します。

  • ルーシー・ステファニ / 柴原瑛菜

ステファニはブラジルのダブルス専門の選手で女子では珍しいサーブ&ボレーをします。東京オリンピックの女子ダブルスで銅メダルを獲得している実力者ですが、今季は怪我で全くプレーしておらず、この東レが復帰戦となります。日本の柴原とペアを組むのは初めて。しかし、下の記事によると二人ともアメリカの大学に進学していたため、学生時代のときから対戦の経験のある間柄なのだそう。ネットプレーの良いステファニが前衛でストロークとサーブの良い柴原が後衛という布陣を組むと結構強そうな気がします。

www.olimpiadatododia.com.br

  • ティーシャ・チャン / アレクサ・グラーチ

ティーシャ・チャンは前述のチャン・ハオチンの姉です。ダブルスの世界ランキング1位になったこともある実力者ですが、昨年の8月からツアーを離脱していてランキングを落としています。今年の5月から復帰し主にオーストラリアのストーサーと組んでいましたが、ストーサーは今季をもって引退なので新しいパートナー探しに動き出しているところなのでしょう。グラーチは力強いストロークが持ち味の選手。調べた限りこの二人が過去に組んだことはないようです。リターンはチャンがデュースサイド、グラーチがアドサイドになると思われます。